2015年06月06日

中盤の停滞が惜しまれる

先月は1回しか更新することが出来ませんでしたが、何とか息しています。
心身ともに疲弊しきっていて駄文を書く余裕がないというのが本当のところですが、エロゲーに関する情熱も少しずつ失いつつあり、書くネタがほとんどないというのも事実。実際先月は積みゲーを一本も崩せませんでしたし、先月購入した新作もかなり前から予約していたものを引き取りにいっただけのことで、もし予約していなかったとしたら恐らく購入していなかったと思います。
どうやらぼくは心に余裕がないとエロゲーを楽しむことが出来ない性質のようです。まあ読ませるタイプのゲームでなく、ゲーム性が強く作業が気にならないようなゲームなら時間を忘れて没頭できるのかもしれませんが・・・その類のゲームは中々プレイする踏ん切りがつかないのですね。

そんなわけで、先月は実のところ月に寄りそう乙女の作法大図書館の羊飼いといった旧作(FDを含めて)を読み返したりするのが主でした。再プレイして新たな発見をしようなんていう楽しみ方ではなく、お気に入りシーンを読み返すというような後ろ向きの楽しみ方ですので、ここで取り上げるような収穫もなく・・・

まあそんな中でも何とか1本クリアすることが出来たのが箱庭ロジック(Cabit)です。Naturalシリーズを源流としているSkyFish系のゲームはこれまで全くと言っていいほど購入したことはなくて、プレイするのは十年以上前となるBeside ~幸せはかたわらに~以来というから久しぶりを通り越しています。といっても途中あまりのつまらなさにギブアップしてしまいどんなゲームだったかほとんど記憶がなく、良かったのは当時最高ランクの音楽集団だったDOORSが作曲したヴォーカルソングくらいでは、果たしてプレイした数に含めていいか怪しい。

そんなこれまで縁が薄いメーカーのゲームをなぜ購入したかというとミステリーADVという公称に惹かれたからですが、あらすじにある連続少女失踪事件と名探偵ヒロインいういかにも本格推理を思わせる発端はミステリ好きにはたまらない内容。ただそうした発端を考えると、最後までプレイした感想はミステリとしては弱い。いや弱いというのはかなり語弊があるので謎解きを主眼とする狭義の意味でのミステリではなく、広義のミステリだったと云い換えた方がいいかもしれません。

というのも本来の連続少女失踪事件の真相は、多少ミステリ慣れしたプレイヤーなら中盤くらいであらかた分かってしまうのですね。また勘のいい人なら犯人も恐らく想像がつくと思います。そういった意味では本格推理の冠を被せるのはやや辛く、謎解きやトリックを期待した人には当然辛い評価をされてしまうでしょう。またプレイヤーにも分かるような謎が、終盤になっても主人公が解けず流れのまま身を任せるといった主人公のキャラクターから無能主人公というレッテルを付けられてしまったのも辛い。(まあ助手のポジションでありながら聞き込みも出来ない役立たずなので仕方ないのかもしれませんが)

ただぼくのようなトリックを主眼とした本格推理でなく、広義の意味でのミステリを好む層にとって主人公のキャラは引っかかるもののストーリー全体を考えれば悪くなかったと思います。確かに最初呈示されていた連続少女失踪事件という謎こそ軽いものの、実のところこのゲームの一番大きなトリックは中途語られる箱庭の物語が本編にどう絡むのかといった点にあったと思うのですね。一見ストーリーに絡んでこないように見えて実は・・・というのは、こうしたミステリにとっては常道でありながら、うかつにもぼくは騙されかかってしまいました。このゲームはサブヒロインのシナリオに見所が無くキャラクターも弱いため流し読みをしてしまったことにつられて、ついこの箱庭の物語も深く考えないまま読み飛ばしてしてしまったのです。

実は後で考えると、ストーリー的に矛盾というより細かなアラもないわけではない(霧架と主人公の母親の関係等)ですが、ぼく的には上手く騙されたという印象が強く、論う気にはなれないというのが正直なところです。読後感もストーリーを考えれば決して悪くなくうまく纏めたなというのが正直なところ。何よりメインヒロインである霧架が最初想像していた以上に可愛くて、このゲームを彩ってくれました。

ただこのゲームが意外なほどに評価が低いのは、このミステリの発端となる連続少女失踪事件という謎の扱い方にあると思うのですね。このゲームの主眼がトリックでない以上ある程度のサスペンス性が必要です。まあ確かに霧架や瑚子というヒロインが失踪するシーンもあることはあるのですが、これがすべてバットエンド扱いでストーリーが中断してしまうのです。これではしょど印象に残らずサスペンスとしての効果は薄いと云わざるを得ません。
確かにライターは苦労してこの事件の被害者たちの家族背景を丹念に描写してストーリーに膨らみを与えようとしているのですが、それに加えて主人公(プレイヤー)と序盤接していたキャラクター(例えばにちかのような)を一人くらいは犠牲者とした方が、よりサスペンス性及び犯人(加害者)への憎しみに結びついたと思うのですね。
鍵によってルートを縛り、読ませていくという手法は面白かったと思うのですが、ラストの真相究明はともかく中盤でもプレイヤーを引っ張るような工夫があればもっと評価を得られていたと思うのです。本格推理なら第2第3の事件が発生するというのが常道ですが、このゲームは美少女ゲームなわけですから、サブヒロインの魅力で引っ張るというのも一つの手だったでしょう。確かにメインヒロインの霧架は魅力的だったのですが、それ以外のヒロインの魅力が薄かったというのも誤算だったかもしれません。

ただ決して酷評される類のゲームではないということは断言できます。名作には至らなくても佳作というのが妥当なところで、もし出来ることなら序中盤をもう少し練り直してリメイクしてもらいたいなと思ったりするわけですが。

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