2017年04月06日
凡作の予感はあったが
今年に入ってからは月2本ずつと、まずまずのペースで新作を購入しているのですが、これまで手を付けたのはまだ1本のみと単に積みゲーを増やすだけのような気がしてなりません。年度末はいつものことなのですが目が回るほど忙しくて、積みゲーを崩すヒマがないので仕方ないのですが・・・
それでもようやく1本崩すことが出来て、それが君の瞳にヒットミー(戯画)なのですが、ぼくが戯画のゲームをプレイするのはbitter smile以来で、本当に久方ぶりとなります。このbitter smileの主人公というのが中々のダメ主人公で、この主人公の言動のせいで戯画のゲームから縁遠くなってしまったのは間違いないところ。
そんなbitter smileのメインライターと目されたのが陸奥竜介氏だったのですが、実は君の瞳にヒットミーも陸奥竜介氏がライターだったのです。
となると嫌な予感しかしないのですが、あの作品以降陸奥氏も蒼の彼方のフォーリズム等を手がけるなど経験を積んできていて、巻き返しの予感も考えられるところ。そして原画がねこにゃんというわけで、丸戸史明氏と組んだパルフェのような名作は望めなくとも、そんな余韻を少しでも味わえたらと思って購入したのですが・・・
(ここからネタバレ)
部活動をメインとした青春学園ものというと、どちらかというと手垢の付いたジャンルといえるのですが、そんな中でどこまで独自性を出せるかがこのゲームを成功に導けるかどうかのカギになるかと思えました。
このゲームの主人公はたった一人になってしまった文芸部の部長で、このまま部員不足で廃部になるのは忍びなく思えた生徒会長の歩鳥の厚意によって、4人の候補(ヒロイン)を主人公に紹介する・・・といった出だし。
この4人の候補を主人公がどんな手練手管を用いて文芸部に入部させるのか?といったところが序盤の山になるかと思っていたのですが、この主人公は別にヒロインを口八丁手八丁で半ば騙すような形で文芸部に入部させるわけでなく、ヒロインの希望も汲み取る形でシェア部という新たな部を立ち上げます。このあたりは主人公の真面目さが表れているのですが、逆に言うと上手くすれば折角笑いの取れそうな場面なのに、あえて平凡に流すものだなと思えました。
その後の海への合宿や、メンバーでの演劇などどちらかというと定番な展開が続きます。いや決してつまらないわけではないのですが、何かもう1つ物足りない・・・そういったストーリーなのですね。
このゲームの主人公は恐れていたbitter smileのようなダメ主人公ではなく、どちらか分類すれば良主人公の範疇に入ると思います。ただアクが強い存在感のあるタイプでなくどちらかというと優等生タイプ。こういったタイプの主人公はヒロインに振り回される役回りが似合うもので、実際ルートの大筋ではそんな展開になることが多いのですが、それでも大きな笑いを呼ぶシーンとなると数えるほど。これはイベントの多くが、他のゲームにあるようなどこかで見たようなものであることが大きいのではないかと思うのですね。
素敵探しがメインとなる詩奈ルートは詩菜が、過去に逢った素敵思い出を主人公と探索するというのがメインで、シナリオ全体を保つにはやや話が弱い。つばさルートは彼女がなぜ魔王になるのを目指しているのかというのがメインストーリーとなるのですが、彼女の設定から面白くなりそうな展開になりそうなのにパンチが足りなく思うには、彼女が主人公のためにこれまでこだわってきた魔王を封印しようとする心情が、主人公(そしてプレイヤー)にも全く響いてこないこと。つばさにとっての一大決意を否定的にしか主人公が受け止めないというのは惜しく感じられて仕方ないのですね。そしてメインヒロインである瞳は祖母を笑わせたいという目的でコメディアンの道を目指すのですが、祖母が笑わなくなった原因がただ瞳の思い違いだったというオチはやはり弱く感じる。これも瞳の成長を見て自然に微笑む祖母といった展開のほうが綺麗にまとまったような気がしないでもない。とここまでのルートを考えてみると、単なる凡作のように思えてしまうのですが、残るみこルートが他と比べ一枚抜けていることにより、このゲームの評価を上げているということになるでしょう。
といってみこルートが他のルートにない奇抜な展開を見せるわけではないのです。みこが主人公と同じマンションに住んでいながら隠している点や主人公に対し含む点を持っていたりなどは、ありがちといえばありがちですがそれでも料理方法が良くみこの心情が良く伝わってくるのです。このあたりが他のヒロインのルートに欠けていると感じた点で、他のヒロインと比べ特徴がないはずのみこが、なぜかオチの人にされていたりと一番得?をしているように感じるのは、シナリオの良さに通じると思うのですね。終盤のシェア部が空中分解すると思いきや元の鞘におさまるといった展開も予定調和といえばそれまでなのですが、このルートらしい締めと考えればベストだったのかもしれません。
そんなわけで、凡作の予感を見事覆すことが出来た今作。惜しむらくはねこにゃんが担当したヒロイン2人が設定的には一番有利なはずだったのに、一番目立たなさそうなみこにお株を奪われてしまったこと。まあ逆に考えればみこルートがサプライズと考えれば収支はプラスなのかもしれません。あとこれは欲目なのですが全ての演劇シーンで立ち絵CGに変化が欲しかったような気がします。もしかして小道具は用意せず演じたのかもしれませんが、やはり専用の衣装があった方が映えたとぼくは思うのですね。
それでもようやく1本崩すことが出来て、それが君の瞳にヒットミー(戯画)なのですが、ぼくが戯画のゲームをプレイするのはbitter smile以来で、本当に久方ぶりとなります。このbitter smileの主人公というのが中々のダメ主人公で、この主人公の言動のせいで戯画のゲームから縁遠くなってしまったのは間違いないところ。
そんなbitter smileのメインライターと目されたのが陸奥竜介氏だったのですが、実は君の瞳にヒットミーも陸奥竜介氏がライターだったのです。
となると嫌な予感しかしないのですが、あの作品以降陸奥氏も蒼の彼方のフォーリズム等を手がけるなど経験を積んできていて、巻き返しの予感も考えられるところ。そして原画がねこにゃんというわけで、丸戸史明氏と組んだパルフェのような名作は望めなくとも、そんな余韻を少しでも味わえたらと思って購入したのですが・・・
(ここからネタバレ)
部活動をメインとした青春学園ものというと、どちらかというと手垢の付いたジャンルといえるのですが、そんな中でどこまで独自性を出せるかがこのゲームを成功に導けるかどうかのカギになるかと思えました。
このゲームの主人公はたった一人になってしまった文芸部の部長で、このまま部員不足で廃部になるのは忍びなく思えた生徒会長の歩鳥の厚意によって、4人の候補(ヒロイン)を主人公に紹介する・・・といった出だし。
この4人の候補を主人公がどんな手練手管を用いて文芸部に入部させるのか?といったところが序盤の山になるかと思っていたのですが、この主人公は別にヒロインを口八丁手八丁で半ば騙すような形で文芸部に入部させるわけでなく、ヒロインの希望も汲み取る形でシェア部という新たな部を立ち上げます。このあたりは主人公の真面目さが表れているのですが、逆に言うと上手くすれば折角笑いの取れそうな場面なのに、あえて平凡に流すものだなと思えました。
その後の海への合宿や、メンバーでの演劇などどちらかというと定番な展開が続きます。いや決してつまらないわけではないのですが、何かもう1つ物足りない・・・そういったストーリーなのですね。
このゲームの主人公は恐れていたbitter smileのようなダメ主人公ではなく、どちらか分類すれば良主人公の範疇に入ると思います。ただアクが強い存在感のあるタイプでなくどちらかというと優等生タイプ。こういったタイプの主人公はヒロインに振り回される役回りが似合うもので、実際ルートの大筋ではそんな展開になることが多いのですが、それでも大きな笑いを呼ぶシーンとなると数えるほど。これはイベントの多くが、他のゲームにあるようなどこかで見たようなものであることが大きいのではないかと思うのですね。
素敵探しがメインとなる詩奈ルートは詩菜が、過去に逢った素敵思い出を主人公と探索するというのがメインで、シナリオ全体を保つにはやや話が弱い。つばさルートは彼女がなぜ魔王になるのを目指しているのかというのがメインストーリーとなるのですが、彼女の設定から面白くなりそうな展開になりそうなのにパンチが足りなく思うには、彼女が主人公のためにこれまでこだわってきた魔王を封印しようとする心情が、主人公(そしてプレイヤー)にも全く響いてこないこと。つばさにとっての一大決意を否定的にしか主人公が受け止めないというのは惜しく感じられて仕方ないのですね。そしてメインヒロインである瞳は祖母を笑わせたいという目的でコメディアンの道を目指すのですが、祖母が笑わなくなった原因がただ瞳の思い違いだったというオチはやはり弱く感じる。これも瞳の成長を見て自然に微笑む祖母といった展開のほうが綺麗にまとまったような気がしないでもない。とここまでのルートを考えてみると、単なる凡作のように思えてしまうのですが、残るみこルートが他と比べ一枚抜けていることにより、このゲームの評価を上げているということになるでしょう。
といってみこルートが他のルートにない奇抜な展開を見せるわけではないのです。みこが主人公と同じマンションに住んでいながら隠している点や主人公に対し含む点を持っていたりなどは、ありがちといえばありがちですがそれでも料理方法が良くみこの心情が良く伝わってくるのです。このあたりが他のヒロインのルートに欠けていると感じた点で、他のヒロインと比べ特徴がないはずのみこが、なぜかオチの人にされていたりと一番得?をしているように感じるのは、シナリオの良さに通じると思うのですね。終盤のシェア部が空中分解すると思いきや元の鞘におさまるといった展開も予定調和といえばそれまでなのですが、このルートらしい締めと考えればベストだったのかもしれません。
そんなわけで、凡作の予感を見事覆すことが出来た今作。惜しむらくはねこにゃんが担当したヒロイン2人が設定的には一番有利なはずだったのに、一番目立たなさそうなみこにお株を奪われてしまったこと。まあ逆に考えればみこルートがサプライズと考えれば収支はプラスなのかもしれません。あとこれは欲目なのですが全ての演劇シーンで立ち絵CGに変化が欲しかったような気がします。もしかして小道具は用意せず演じたのかもしれませんが、やはり専用の衣装があった方が映えたとぼくは思うのですね。
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