2012年02月12日

シナリオは薄く萌えは厚く

年頭に公約として挙げた5本のうち、一番最初にクリアした春季限定ポコ・ア・ポコ!(ALcotハニカム)の所感を今回は紹介したいと思います。
公約どおりなら本来はStrawberry Nauts(HOOK)の方を先にクリアしていないといけないはずなのですが、なぜそれが逆になってしまったかというと、ボリュームの差もあるのですが何より内容の差の方が大きかった。といってもStrawberry Nautsを腐しているわけではなくてそれだけ前者の方が面白かったわけですが、プレイ後ふと振り返って考えてみると意外(というほどでもないか)に内容が薄いことに気付かされました。
これは題材となっている音楽についての描写がやや甘く感じられることによるものではないかと思います。流れるBGMも心地よくレベルが高いものが揃っているのですが、主人公たちが演奏するピアノ四重奏をプレイヤーに感じさせるといった点では何か希薄に映るし、何よりクラシックに対するライターの造詣や深い愛情といったものをシナリオを読む限りほとんど感じることが出来なかったのが痛い。
まあこれはゲーム紹介を読み違えて、少年マンガにあるような熱血部活動ものと思ってしまったぼくの責任によることも大きいでしょう。主人公の音楽に対する姿勢なんて真摯にはほど遠いもので序盤の彼の行動を見ていると典型的ダメ主人公ものかと思わせるくらいですから、そのあたりに期待したら裏切られたように感じられても仕方がない。そして前にも述べたようにクラシックに対する薀蓄などの楽しみも期待できないとなれば、青春音楽ものとして見れば赤点の烙印を押されても仕方なく内容が薄く感じられるのも当然なのかもしれません。

ただプレイの最中そんな内容の薄さを感じさせなかったのはヒロインの魅力によるものが大きいのでしょう。一歩間違うと付きまといウザキャラになってしまいそうな妹の藍も駄妹ぶりが光りすぎてで逆に可愛くみえますし、典型的ツンヒロインの夏海もデレモードに入ったときの破壊力は中々のもの。ただぼく的に一番ツボに入ったのが桜でとぼけた言動に隠された芯の強さ(そして弱さ)には正直やられました。絵師の描く立ち絵も魅力的で、これだけ萌えさせられたヒロインはぼくにとって久方ぶりです。
そう考えるとこのゲームは萌えゲーとしては教科書どおりの作りとなっているといえるのでしょう。非攻略キャラの真奈先輩を含めヒロインたちの笑いを交えた会話は軽快でサクサクと読み進めることができます。萌えゲーにはテンポも重要なのでは?と日頃から思っているのですが、このゲームはその点で水準をはるかに上回っていると思います。ぼくがこのゲームを一気に終わらせることが出来たのも、シナリオの面白さに惹かれたというよりもヒロイン萌えの強さと軽快な会話のおかげなのです。

何か褒めたのか貶したのか分からないような文章になってしまったのですが、安定のハニカム文庫という面目を充分に保った作品であり萌えゲーを主戦場にするユーザーならプレイして損はないと思います。ただ音楽等の描写にリアリティを求める人にはやや辛いかもしれません。ぼくの偏見かもしれませが萌えゲーを好む人は意外と音楽にうるさいことが多いような気がするので、そういった意味でこのゲームがもう少し音楽(クラシック)に対して深い部分まで触れていれたらば単なる萌えゲー以上の評価を得られていたかもしれないと思うのですが・・・ただそうなるとハニカム文庫の守備範囲を越えてしまうような気がするので難しいところですね。

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