2016年10月06日
構成や展開の拙さに泣く
先月中旬から患っていた帯状疱疹ですが、ようやく快方に向かいつつあるようです。
ただ時折ちくちくと刺すような痛みが続いていて、いまだ全快とはいかない状態が続いています。まあ直りきらないうちから仕事に出ているようでは仕方ないかもしれませんが、いまだ患部だった箇所に痺れが残っているところを見ると、もしかしたら帯状疱疹神経痛なのではと心配しています。
さて9月発売のゲームが出揃った中、ぼくはいまだに昨年発売のゲームを崩しているわけですが、今回は果つることなき未来ヨリ X-RATED (FrontWing)の所感について述べてみようと思います。
メーカーのあおり文句が「グリザイア」スタッフ再結集ということで、グリザイア三部作を意識した作品であることは理解していたのですが、発売から1年近く経過した批評空間の得点はと見ると、まずまずの数値ではあるものの第1作である「グリザイアの果実」と比べると遠く及ばない。これだけ見ると「グリザイア」スタッフ再結集という煽りは逆に自らハードルを高くしてしまったように感じられたわけですが・・・
(ここからネタバレ)
このゲームを終えた感想は「ずいぶんバランスの悪い構成だな。」というものでした。主人公の三森一郎が異世界に飛ばされユキカゼに救われてからの始まりは「グリザイア」のメインライターの藤崎竜太らしさが出ていました。グリザイア3部作では後半になるに従ってミリタリーの造詣深さが高じて独自の世界へ入ってしまったのですが、今作の場合は当初から主人公が太平洋戦争時代の軍人と設定されているだけあって、無理なく世界観に入っていくことができました。三森の軍才に惹かれていくユキカゼの心情は容易に理解できるものですし、物語に入っていく上ではベストに近いプロローグだったといえると思います。
それが怪しくなりはじめるのはアイラとの出会いあたりから。アイラを巡る周囲の紛争について説明するのが生易しいものでないのは分かります。ただこれはぼくの理解力が足りないのかもしれませんが、このアイラルートの序章に関してライターが何をプレイヤーに伝えたいのかぼくにはさっぱり分かりませんでした。言い換えれば「冗長」この一言に尽きます。特にアイラとキュリオの昔話に至っては何を意味するのかさっぱり不明な上全く面白くなく正直スキップしたくなりました。アイラや他の犬族たちのキャラは良かっただけに、このストーリー展開は残念でした。
続くメルティアやリアは手堅い展開でしたが、2人のキャラがどうもぼくの嗜好から遠いところにあって面白みには描けました。そう考えるとこの作品がユキカゼ(というより藤崎竜太氏)におんぶだっこしたものであることは分かるかと思います。
そんな共通ルートを経て始まるユキカゼルートは確かに面白かったです。ただこのルート。ユキカゼルートというよりも飛竜隊ルートといっても過言なくて、メインヒロインである筈のユキカゼについては意外に存在感が薄いのがある意味興味深かったです。実際ヒロインの魅力としてはユキカゼよりもカーマインら4人の方があって、主人公が彼女らを教育していくあたりは、一番「グリザイア」らしさを感じる場面でした。
ぼく的にはユキカゼよりも飛竜隊の方がヒロインとして相応しいように思えてならないのですが、これは主人公が言うように「ユキカゼと遭わなければ自分は生きていなかった。」(多少ニュアンスが違うかも・・・)ということを考えれば、ユキカゼをメインヒロインとして扱うことに関しては文句はありません。
ただ物語を進行するにあたってメインディッシュであるはずのユキカゼルートが1番最初に入るよう固定されていて、サブであるアイラたちがユキカゼルートの後になるというのは構成的にかなり問題かと思うのです。このサブヒロイン3つのルートは面白さという点で明らかにユキカゼルートに劣っていて、どうにも拍子抜け。そんなサブヒロインのルートがユキカゼルートを終わらせないと解凍しないという点もどうも腑に落ちない。というのもこの4人のヒロインルート自体同時系列で進んでいるものの相互の連携はそれほど強いとはいえず(それぞれライターが違うから当然か)、独立してしまっているのです。だからどのルートからプレイしたとしてもネタバレになるわけでなく弊害はほとんど感じない。そういった意味で最初のルートをユキカゼに固定することに意味をほとんど感じないのです。
もし意味を求めるとしたら、全ルート終了後にグランドルートがあって然るべきだし、そうすれば作品自体も締まると思うのです。そこでもし飛竜隊が攻略できたとしたらもっと評価は上がったでしょう。まあないものねだりですが・・・
「終わりよければすべてよし」と言い切ってしまうのは少しどうかと思うのですが、締りが悪いよりは作品としての印象はいい筈。そう考えると序盤の冗長な展開を含め、このゲームは構成的にかなり損をしていて、そこさえ何とかなっていればもう少し評価が「グリザイアの果実」に近づけたと思うのですね。そういった意味でも良作には足りないといった批評空間の評価は妥当なものなのでしょう。
ただ時折ちくちくと刺すような痛みが続いていて、いまだ全快とはいかない状態が続いています。まあ直りきらないうちから仕事に出ているようでは仕方ないかもしれませんが、いまだ患部だった箇所に痺れが残っているところを見ると、もしかしたら帯状疱疹神経痛なのではと心配しています。
さて9月発売のゲームが出揃った中、ぼくはいまだに昨年発売のゲームを崩しているわけですが、今回は果つることなき未来ヨリ X-RATED (FrontWing)の所感について述べてみようと思います。
メーカーのあおり文句が「グリザイア」スタッフ再結集ということで、グリザイア三部作を意識した作品であることは理解していたのですが、発売から1年近く経過した批評空間の得点はと見ると、まずまずの数値ではあるものの第1作である「グリザイアの果実」と比べると遠く及ばない。これだけ見ると「グリザイア」スタッフ再結集という煽りは逆に自らハードルを高くしてしまったように感じられたわけですが・・・
(ここからネタバレ)
このゲームを終えた感想は「ずいぶんバランスの悪い構成だな。」というものでした。主人公の三森一郎が異世界に飛ばされユキカゼに救われてからの始まりは「グリザイア」のメインライターの藤崎竜太らしさが出ていました。グリザイア3部作では後半になるに従ってミリタリーの造詣深さが高じて独自の世界へ入ってしまったのですが、今作の場合は当初から主人公が太平洋戦争時代の軍人と設定されているだけあって、無理なく世界観に入っていくことができました。三森の軍才に惹かれていくユキカゼの心情は容易に理解できるものですし、物語に入っていく上ではベストに近いプロローグだったといえると思います。
それが怪しくなりはじめるのはアイラとの出会いあたりから。アイラを巡る周囲の紛争について説明するのが生易しいものでないのは分かります。ただこれはぼくの理解力が足りないのかもしれませんが、このアイラルートの序章に関してライターが何をプレイヤーに伝えたいのかぼくにはさっぱり分かりませんでした。言い換えれば「冗長」この一言に尽きます。特にアイラとキュリオの昔話に至っては何を意味するのかさっぱり不明な上全く面白くなく正直スキップしたくなりました。アイラや他の犬族たちのキャラは良かっただけに、このストーリー展開は残念でした。
続くメルティアやリアは手堅い展開でしたが、2人のキャラがどうもぼくの嗜好から遠いところにあって面白みには描けました。そう考えるとこの作品がユキカゼ(というより藤崎竜太氏)におんぶだっこしたものであることは分かるかと思います。
そんな共通ルートを経て始まるユキカゼルートは確かに面白かったです。ただこのルート。ユキカゼルートというよりも飛竜隊ルートといっても過言なくて、メインヒロインである筈のユキカゼについては意外に存在感が薄いのがある意味興味深かったです。実際ヒロインの魅力としてはユキカゼよりもカーマインら4人の方があって、主人公が彼女らを教育していくあたりは、一番「グリザイア」らしさを感じる場面でした。
ぼく的にはユキカゼよりも飛竜隊の方がヒロインとして相応しいように思えてならないのですが、これは主人公が言うように「ユキカゼと遭わなければ自分は生きていなかった。」(多少ニュアンスが違うかも・・・)ということを考えれば、ユキカゼをメインヒロインとして扱うことに関しては文句はありません。
ただ物語を進行するにあたってメインディッシュであるはずのユキカゼルートが1番最初に入るよう固定されていて、サブであるアイラたちがユキカゼルートの後になるというのは構成的にかなり問題かと思うのです。このサブヒロイン3つのルートは面白さという点で明らかにユキカゼルートに劣っていて、どうにも拍子抜け。そんなサブヒロインのルートがユキカゼルートを終わらせないと解凍しないという点もどうも腑に落ちない。というのもこの4人のヒロインルート自体同時系列で進んでいるものの相互の連携はそれほど強いとはいえず(それぞれライターが違うから当然か)、独立してしまっているのです。だからどのルートからプレイしたとしてもネタバレになるわけでなく弊害はほとんど感じない。そういった意味で最初のルートをユキカゼに固定することに意味をほとんど感じないのです。
もし意味を求めるとしたら、全ルート終了後にグランドルートがあって然るべきだし、そうすれば作品自体も締まると思うのです。そこでもし飛竜隊が攻略できたとしたらもっと評価は上がったでしょう。まあないものねだりですが・・・
「終わりよければすべてよし」と言い切ってしまうのは少しどうかと思うのですが、締りが悪いよりは作品としての印象はいい筈。そう考えると序盤の冗長な展開を含め、このゲームは構成的にかなり損をしていて、そこさえ何とかなっていればもう少し評価が「グリザイアの果実」に近づけたと思うのですね。そういった意味でも良作には足りないといった批評空間の評価は妥当なものなのでしょう。
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