2023年08月05日

読み物として単純に面白い麻雀本

前回に引き続いて7月に購入した麻雀本から「トップ1%の麻雀手筋」の所感について。



これまで麻雀プロが著した麻雀戦術本というと、自分の牌譜から思考・切り筋などを表したものが多いのに対し、この本は著者の友添プロが勉強会などで他プロが、定石から外れた(と思われる)一打について取り上げるというもの。
このような切り口の麻雀本というのは、あまり見当たらない。というのも、他プロが考え抜いて打った思いと著者の思考が必ずしも一致しているといえないから。
最近のこういった趣向の麻雀本といえば、第14代天鳳位であるお知らせ氏が麻雀AIであるSuphxの打筋を解説した「Suphxの衝撃」が上げられます。これは言葉が喋れない麻雀にAIに代わって、お知らせ氏がその打ち筋を紐解くといったもので、その打牌の意図を実際に打ち手に確認した今回の友添プロの著書とは意味合いが違います。この本は友添プロが勉強会などで目にした一流プロの手筋を感心交じりに解説するといったもので、悪く言えば「人のフンドシで相撲を取る」と思われてしまうかもしれないところを、そこは友添プロのこと。そんなことを微塵も感じさせず非常に面白く仕上がっています。

こうした趣向の本というと、古くなるのですが漫画家そして強豪雀士として有名な福地泡介氏が、著名人雀士の一打を取り上げた一連の麻雀エッセイが上げられます。ただこの本は著者の語り口もあってすこぶる面白いのですが、戦術本という意味合いは薄い。それと比べると友添プロの本は語り口の面白さはさることながら、戦術本として読まれることも拒否していない(とういうか近代麻雀戦術シリーズというレーベルですし)わけで、ニヤニヤとしながら一流プロの思考を学べるというい一粒で二度おいしいといった内容になっています。特に多井プロや園田プロとの対談は二人の喋っている口調が聞こえてくるようで非常に面白い。
もちろん友添プロも最強戦や風林火山トーナメントで活躍したように、一流プロと遜色ない雀士です。そんな友添プロが気づかず感心するくらいですから、その打牌が好打と理解するのはぼくのようなレベルでは相当難しい。そして得するといっても微差であり、なかなか理解できない内容なのかもしれません。特に村上プロへ差し込み(アシスト)を促す一打などは、その卓を囲むメンバー構成も一定のレベル以上の雀力に達していないと意味がありません(例えば天鳳鳳凰卓のようなメンバー構成のような)。

ただ、そんなものは正直どうでもいいのです。友添プロと一緒になって、多井プロや園田プロ・堀プロ相手の勉強会に参加しているような気分になっただけで、(ぼくにとっては)得るものが大きかったし、強くなったような気分にさせられたのですから。

これ以上詳しく語るとネタバレになってしまうので、後は実際に読む(そして買う)ことを僭越ながらお勧めしたいと思います。

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