2014年08月02日

灰汁の薄まった結果は?

前々から課題にしていたエロゲーの内、ようやく‘&’ -空の向こうで咲きますように-(暁WORKS)をクリアすることが出来ました。
今年上半期の話題作の1本であるハロー・レディ!を始める前に、順番としてその前の作品を崩しておくべきだろうと思い手を付けたのですが、正直それほど期待していたわけではありませんでした。というのも批評空間で原画さえき北都・シナリオ衆堂ジョオ&日野亘ラインの作品では評価が一番低かったからです。まあそれでも中央値76点をキープしているのですから充分といえないこともないのですが、ぼく的に終盤の展開がどうにも評価できなかったコミュ -黒い竜と優しい王国-より中央値が低いということでネガティブ的イメージが強く働いていたことは確かでした。

あと若干不安に感じていたのが、このゲームが明らかに中二病的要素を漂わせていたところ。この系統の作品はぼくの感触ですと、当たり外れが激しいという印象が強い。当たりを引けばまだしも逆の目が出てしまうと本来こういったタイプの作品と肌が合わないだけに目も当てられない結果となってしまいそう。
まあるい智は面白かったし、コミュもそこまで大ハズレといった程でなかったのでそこまで大きな不安といった程ではなかったのですが・・・

結果はそんな予想をいい意味で裏切ってくれるものでした。日野&衆堂ラインの出世作というべきるいは智をよぶと比べると爆発力としては劣るかもしれませんが、キャラクターの魅力という点を考えれば勝るとも劣らない。これは原画家であるさえき氏の貢献度大といえます。タバサいや束沙の変身ぶりはさえき氏の力量を証明するものだし、梨子と妹たちのビジュアルは胸熱。ただそれだけではなくて、過去の仲間たちとの抗争や和解。道具に対する想いなどが織り交ざりキャラクターの魅力を引き立てています。そして過去作と同じくそんなキャラが繰り広げる会話のキャッチボールは相変わらず面白い。いや魅力あるキャラが多数いた分を考えれば一番上といっても言い過ぎではないくらい。これは前2作と比べてアクが薄れたことと無関係ではないかもしれず、これまでの暁WORKSファンにとって物足りないと思った部分がぼくにとっては歓迎だったということかもしれません。

もちろん褒められる部分ばかりでないことも確かです。
その大部分を占めるのが主人公であることは間違いないところ。中二病的作品にあるまじき役立たずぶりはプレイヤーと主人公を同一視して楽しむ人にとっては辛いかもしれません。一応主人公の変態紳士っぷりが同一視の妨げになるので、気にならないといえば気にならないのですが、それにしても友人のマッチョ法師貢一郎の方がよほど主人公らしい思考と言動をしていたことを考えると、真の主人公は貢一郎だったのかもしれません。
まあ中国の古典小説は一概に木偶の坊が主人公を務めることが多いのでその先例に倣ったといえないこともないですが・・・

そしてぼく的に引っかかったのが、このゲームのカギである道具の扱い方。
RPGのアイテムに強弱があるように道具に使える使えないものがあるのは仕方ないのですが、主人公の道具が新たな道具を産み出すといった半ば反則的なアイテムだった点で、謎解き要素は薄れ力技で押し切るタイプの作品になってしまったのが残念。(そしてそれをあっけなく盗まれる主人公の間抜けっぷりもキツイのですが・・・)少なくとも回数制限とか徐々に道具の性能が劣化していくなどの工夫があっても良かった。
そしてその力技の最たるものが八重ルートですが、まあ元が中二病的作品なわけですから力技で押し切られる展開だったとしても文句は言えないのかもしれません。

まあこれは愚痴なようなものでぼく的には充分楽しめた作品でした。その要因はやはりキャラの魅力で「攻略ヒロインの過半数が当たりなら良作」という目安に沿えば、梨子・束沙・麗の3人が(シナリオは別として)当たりだった時点で勝ったようなもの。他の作品ならばまず嫌いなタイプのヒロインのはずの麗ですが、原画・声優の貢献もあって充分魅力あるヒロインに仕上がっていたのも嬉しい。そう考えてみるとこのゲーム。中二病・燃えゲーの殻を被った萌えゲーといっても差支えないかも・・・

そんなわけでこの勢いに乗ってハロー・レディ!をプレイしたいと思います。

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