2015年01月07日

古い皮袋に古い酒

明けましておめでとうございます。

相変わらず多忙の中、体調が優れない毎日を送っていますが、ブログの更新については体調と折り合いを付けながら負担にならない程度にぼちぼちと進めていきたいと思っています。

さて、ごく短い正月休みの間、取りあえず昨年から進めていた積みゲー崩しを多少なりともというわけでLove Sweets(MOONSTONE)をクリアすることができました。

(ここからネタバレ)

このゲームの第1印象はというと、非常に古臭い設定のゲームというものでした。
舞台がパティスリーというのもエロゲーだけでなくラノベ等でも多くあるし、そこに勤めるウェイトレスがヒロインというのも定番。そのウェイトレスが妹を含め全員主人公と同じ学園に通っているというのもかなりのご都合主義でこのあたりも往年のエロゲーを偲ばせますし、主人公が彼女を作るためにアルバイトを始めるといった切欠もF&Cの一連の作品やMilkyway2(Witch)といった古典作でもよく見られたものでした。

そんな古い皮袋にどんな酒を注いでくれるのかといった点に興味があったのですが、実際ゲームをプレイを始めても印象はそれほど大きく変わるものではありませんでした。
実際原画についても決して垢抜けているわけでない(決して腐しているわけではない)し、MOONSTONEの姉妹ブランドにあるようなHシーンでの動画といった部分もない。そう考えるとCGや塗り等はともかく、それ以外の部分では10年前にこのゲームがリリースされたとしても、驚かないといっても言い過ぎでないくらい新鮮味のない内容でした。

では新鮮味がないといって決して不出来なゲームかと聴かれれば、明らかに違うと即答できます。プレイしていて嫌味を感じさせる部分がなく、イライラさせられる部分もない。もちろんシナリオに大きな起伏があるわけでなく、ラストの盛り上がりについても多少あったかといったところで決して褒められたデキではありませんが、主人公とヒロインの恋愛関係を楽しむといった点を思えば、それがいい方向に出ています。こうしたゲームにありがちなダメ主人公というわけでないので、必要以上に持ち上げられたシーンについてもあまり嫌味に感じない。萌えゲーの王道を走っているつもりで意外に道を踏み外してしまっているゲームが多い中で、こうして王道を踏み外さずにラストまで迎えられる作品というのは意外に少ないものなのです。

ただまずまずの作品だったとは認めるものの、印象に残る作品だったかと聴かれると首を横に振らざるを得ないのは確か。ぼくの記憶力を考えると割り引かないといけないかもしれませんが、1年後このゲームのことをどこまで詳細に覚えているかどうかとなると、自信のある人はそう多くはないはず。これは設定等も王道ならヒロインも定番の配置で奇をてらったところが全くない点がその要因かもしれません。もちろんヒロインに魅力がないといったわけではなく、恋人同士になった後はなかなかのイチャラブっぷりを見せてくれるのですが、印象の残る強烈なイベントとなるとほとんど見当たらないのですね。
もちろんこのゲームが大振りのパンチを繰り出しKOを狙うタイプのボクサーではなくて、小さなパンチを積み重ねポイントを稼いでいくタイプなので仕方ないのかもしれませんが、それにしてももう少し印象の残るイベントが欲しかったと思うのですね。

そんなぼくが今のところ一番印象に残っているのがみなもシナリオ。ぼく的にこのバイト先の先輩というポジションのヒロインはこれまでお気に入りに入選したことがなく一番期待していなかったキャラだったのですが、彼女のセールスポイントである包容力をコミュ障の小姑(伊織)との小さなイベントの積み重ねで表していくといった構成はこうした萌えゲーには珍しく新鮮に感じられました。決め手を持たずジャブを繰り出していくスタイルがこのゲームの持ち味と考えるならば、このシナリオがベストで次善のルートが奏絵というのがぼくの評価です。
逆にぼくの感覚的にヒロイン中で萌え分で上位にランクされるはずの結衣や櫛無の方が上積みという点では乏しかった。彼女たちのルートはイチャラブという点ではそれなりに悪くはないものの、概ねシナリオの流れは旧態依然としたものでHシーン以外ほとんど印象に残るものはありませんでした。

(総括)

古い皮袋に新しい酒というのはよくある例えですが、このゲームは古い皮袋にあえて古い酒を入れたというのが持ち味といっていいでしょう。それだけに物足りなさを感じられる部分は多いのですが、萌えゲーの王道ともいえる設定だけに安心してプレイできることは確か。ただ欲を言えばみなもルートのような味のあるルートがもう一つくらい欲しかった印象。特にこのみなもルートはイチャラブものにありがちな個別ルートに入るとほかのヒロインの影が薄くなるといった欠点が見られなかったのもプラスに作用しています。ただこういったゲームの宿命といえばそれまでですが、心に大きく響くようなシナリオではなかったということに関しては間違いないところでしょう。

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