2015年01月30日

シリアスとコメディが奏でる不協和音

ご無沙汰しています。

昨年末以来心身ともに非常に辛い日が続いていて、正直今月は恒例のゲーム予想記事をアップするのを断念しようかと思っていました。
それが何とか遅ればせながらでも発売日までに間に合わすことが出来たのは、今月は金曜日が第5週まであってゲームの発売日が遅かったこと。そしてこれが一番の理由ですが発売本数が少なく、取材に掛ける時間が少なく済んだからです。本来新作の発売本数が少ないことは、エロゲーファンにとっては選択肢が絞られるということもあって悲しむべきことかもしれませんが、今月に限っては素直に喜んでしまいました。
実際、ぼくも今月は購入するゲームが見当たらない・・・というより新作を予約に行く暇さえなかった・・・こともあって見送りが確定しているわけですが、その分昨年に購入したまま放置してある積みゲーを崩すのに専念したいところ。

というわけで、一番進行しているサツコイ(Alcotハニカム)を終わらせることにしました。

このゲームについては実は序盤プレイしていて気になった点をブログに取り上げていて、それが10月5日のこと。フルプライスでなく直ぐに終わりそうなゲームにどれだけ時間を掛けているのかといってお叱りを受けそうですが、これについては自分の責任なので首を垂れるしかありません。ただ、言い訳をさせてもらうならば、同じライターである瀬尾順氏の春季限定ポコ・ア・ポコあえて無視するキミとの未来より明らかに面白くな・・・いやぼくの好みに合わなかったから、つい箸の進むのが遅くなったのですね。

(ここからネタバレ)

これまで瀬尾氏が出してきたハニカミ文庫の2本はいずれもコメディ&キャラゲー色の強い作品でした。もちろんよくあるイチャラブオンリーでシナリオは取ってつけたようなものというわけではなくて、多少ウェイトはかけているものの前作のあえて無視するキミとの未来の未来視設定のように、いわゆるギミックとしての意味しか持たないことが特徴でした。もちろんそれは悪い意味ではなく、キャラ同士のテンポの良い会話は瀬尾シナリオの魅力となっていました。
それがこのサツコイではシリアス色を強めて、いわゆるコメディ部分とシリアス部分の化合を図るという意欲的な作品となっています。エロゲーの世界でシリアスといえば定番といっていい死生観をモチーフにしたという意味では、同じAlcotの作品である死神の接吻は別離の味の成功に倣ったといったところかもしれませんが、結果的には先達の成功からは遠く及ばなかったというのが正直なところ。というのも死生観という重い主題とキャラ萌えがうまく配合され、引き立てあっていた死神の接吻は別離の味と比べて、サツコイは混合させただけで内容は分離してしまっている感が強かったからです。

これはこのゲームのキモともいえる人魚という設定がどうにも強引で無理筋のように思えるからでしょう。というかここまでご都合主義に溢れている設定は正直お目にかかれるものではないです。まあぼく的には神話の世界であるまいし、近親姦に凝り固まった純血種の方が人魚と人間の混血であるハイブリッド種よりも必ず優れているという設定を見るだけでかなりの違和感があるのですが、人魚の雌が双子の雄を喰らって成長するという設定等、これだけご都合主義的設定を振りかざしてしまうととてもラストで感動を呼ぶことなんて出来ません。

こうしたシナリオに足を引っ張られてしまったのが、これまで瀬尾氏の特長となっていたテンポの良い会話部分。駄妹3号というべきメインヒロインの悠も同級生の直も悪いキャラでないのに、前2作より劣るように感じられるのは中途半端なシリアス&シナリオ強化の犠牲になってしまったといっても過言でないと思うのですね。もともと瀬尾氏はシナリオの重厚さや伏線消化のトリッキー味で読ませるタイプのライターでないわけで、なぜこんな苦手な土俵で戦ったのかぼく的には解せないのです。前2作では薄っぺらい設定や畳みきれない伏線がありながらテンポの良い会話部分でそれが目立たず済んでいたのに、今回は悪い点ばかりが目についてしまったというのは明らかにテーマ選択の失敗が影響したものといえるでしょう。瀬尾氏には次回こそ得意な土俵で戦ってもらいたいし、それが一番生きるのはハニカム文庫だとぼく的には信じていますから・・・

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