2015年07月03日

マイルドな鬱ゲー

最近エロゲーを中古で買ったという記憶がありません。
まあ発売まもなくに未開封中古を購入したことはあります(それも殆どありませんが)が、恐らくここ5年以上はまったく中古には手を出していないことになります。
これは別にぼくが新品に拘りを持っているわけではなく、単にこれだけ積みゲーを抱えている中で事前予想で購入を見送ったゲームをいくら発売後の評判が良かったからといって(そういったゲームは新品が品薄なことが多い)改めて購入する気になれないのです。というか見送ったゲームを後で購入するのは何か悔しいということもありますが。

というわけで、ぼくがこのブログで所感を述べているゲームはほとんど新品で購入したものです。発売後期間が過ぎていて一見すると「評判の良かったゲームまたは中古で安くなったゲームばかりプレイしている。」と思われるかもしれませんが、残念ながらそうではなくて単に新品購入後すぐにプレイできるような環境ではないのですね。

まあそれならわざわざ高い新品でなく中古を購入したほうが懐にも優しいのかもしれませんが、後で購入するからと考えていて結局購入しないままプレイせずに過ぎてしまったゲームは少なからずあって、ならば新品で購入しておいて退路を断ってしまったほうがいいかなと思っているわけなのです。

さて前置きが長くなりましたが、今回所感を述べるゲームはというとひこうき雲の向こう側(FLAT)です。
昨年3月の発売ということですが、この月は大図書館の羊飼い ‐Dreaming Sheep‐(オーガスト)ハローレディ(暁WORKS)がツートップ的存在で、その他にもBALDR SKY Zero 2(戯画)Clover Day's (ALcot)もありこのゲームは発売前ほとんど注目を集めることはなかったという記憶があります。それが現在それらのゲームを差し置いて批評空間のデータ数で上回っているというのは、いかにこのゲームが発売後の評判が良かったということになるのでしょう。(まあそれだけデータ数がありながら発売元のFLATが1年以上経つというののいまだ新作の発表すらできないというのは、いかにゲームとしての売り上げが芳しくなかったかというこにもなるのでしょうが・・・

それだけ意外なダークホースとなったゲームですが、発売後の評価は好意的なものが多かった中で、鬱ゲーという感想がちらほらあったのが気になりました。メーカーHPにはドタバタ恋愛アドベンチャーとなっているはずなのに、これはどうなっているのか。これまでFLATというメーカーはバトルやシリアス系のゲームを手がけていて、確かにドタバタ恋愛アドベンチャーというジャンルには違和感はあります。とするとこのメーカー発表は隠れ蓑で陰でプレイヤーを驚かせる仕掛けを仕込んでいたのでしょうか。それはともかく、発売当時から現在までぼくの精神状態は鬱ゲーをプレイするのには向いてなくて、手を付けるのにはかなり勇気があったのですね。

というわけで延び延びとなっていたわけですが、今年に入ってからボチボチとプレイを始めました。鬱ゲーの覚悟はしていたのですが、思ったよりは陰鬱さは少なかった印象でした。ただそれでもクリアするまでかなりの時間が掛かったところを見ると、かなり考えさせる内容でありサクサク進む軽いゲームでなかったというのは間違いありません。

(ここからネタバレ)

購入する前のぼくのお気に入りヒロイン候補は佐藤さんで決まりでした。というのも他のヒロインはどうも一癖ある面子が揃っていたのですね。ところがこの佐藤さんは攻略ルートがないという罠。正直この時点でこのゲームをプレイするモチベーションを失ったというのは事実です。(これを知ってしまったというのもプレイするのが遅くなったという理由の一つでもあります)
もしかしてこれが鬱の原因ではないかと勘ぐったくらいだったのですが、最初にプレイしたいろはルートをプレイして鬱ゲーと云われる理由が分かりました。いろは母親に疎まれ家族愛のない幼少を送っているし、駄妹っぷりを序盤から見せている美奈ルートもバトミントン部を舞台とするイジメが鬱さを醸し出しています。そしてメインヒロイン格の瑛莉も過去の事件から妊娠できない(しにくい)過去を持つなどしているわけですが、こうして見るとこのゲームはヒロインの過去のトラウマがテーマといういたって古風なゲームであることが分かります。過去の名作といわれるゲームの多くがこの手法で作られていたものですが、このゲームが好評であるところを見ると、時代を経てもこの手法は有効であるということなのでしょう。
そういった意味で「ドタバタ恋愛アドベンチャー」というメーカー発表はそういった作風を隠すためであったという意見が正解のような気がしてきたのですが、ただあながちこの「ドタバタ」が間違いであるとはいえないのも事実なのですね。
というのもヒロインに降りかかる不幸やトラウマといった難題は、意外にあっさりと解決してしまうのです。これが過去の名作を倣ったとすれば、プレイヤーを泣かせるためにこれでもかと不幸の押し売りをするでしょう。鬱ゲーっぽさを漂わせながら、プレイヤーを心の底から暗鬱にさせないというのがこのゲームの特徴で、そういった意味では「ドタバタ恋愛アドベンチャー」もあながちウソではなかったといえます。

ただぼく的にはやはりラストのあっさり風味に拍子抜けしたのは事実です。それを覆い隠すのが意図と思われる瑛莉ルートの後日談もぼく的にはそれほどピンとこなかったのです(専用のCGを何枚も用意した意欲は買えますが)。まあこれは攻略ヒロインの当て馬にされた感の強い佐藤さんに、他のヒロインのルート中もずっと惹かれ続けていたことが要因なのでしょうね。
ただそんな不遇な扱いを受けている佐藤さんですが、他のヒロインと同じくらいの容量が欲しいというのはやや欲目かもしれません。彼女も家庭環境はそれほど恵まれているとはいえないのですが、そんなことは微塵も感じさせない優等生な彼女にこのゲームのヒロインは似合わなかったとも考えてしまうのです。そういった意味でもあのおまけ的な救済の仕方が妥当だったといえるでしょう。ただ最後のHシーンノ展開はあまりに唐突で彼女には相応しくなかったと思うのですが・・・

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