2015年10月04日

予想に反し雰囲気重視に

今回はぼくが初めてプレイしたあっぷりけ・・・というよりオダワラハコネ&桐月作品である花の野に咲くうたかたのについての所感を書いてみようかと思います。

初めてといっても、実のところコンチェルトノート黄昏のシンセミアは発売日購入したまま積みっ放しとなっていて明らかにプレイ順は逆なのですが、ネタバレ情報が耳に染みていてプレイするモチベーションが低下してしまったコンチェルトノートを崩すのを待っていては、いつプレイできるか分からない。また今作品が面白ければ過去作を崩そうとするモチベーションも湧いてくるかもしれない・・・と思ってプレイを始めたのですが・・・

ただこの作品。過去のハコネ&桐月作品と比べると、批評空間での中央値が明らかに低い。黄昏のシンセミアからおよそ5年もの間隔が開いてしまったためファンの期待があまりに高くなってしまったのか、それともブランクの長さ(といっても2012年にねこにゃんとコンビを組んだ紅蓮華(エスクード)というゲームがありますが)が響いたのか分かりませんが、あまり大きな期待をしてプレイしないほうが良さそう。といっても、これまで桐月氏が得意にしていると思われるジャンルである伝奇ものはどちらかというとぼくは苦手で、今回は伝奇色が薄いとあって設定的には逆に楽しめるのではないかという気もしていました。

そんなこの作品。プレイ当初の感触ではどうやらメインヒロインである桜花が優遇されていて、他のヒロインは添え物(といっては言いすぎか・・・)のような雰囲気が漂っていました。ただぼく的に人外ヒロインには食指の動かないことが多くいのですが、ヒロイン萌え主体のゲームとして見るのでなく幽霊が主人公の近辺で起きるちょっと不思議な事件を解決するというコンセプトで見れば悪くなさそうに思えたのですが・・・
ただミステリーとして考えるとやや微妙なのですね。序盤は桜花が安楽椅子探偵として事件を解決していくわけですが、事件的にあまり盛り上がらないまま終わっていくことが多いのです。ただストーリーが全く面白くないというほど酷くはなくて、何より雰囲気的にいいものがあるし、ヒロイン陣にハズレがなく良質の萌えを感じさせてくれたのは意外といえば意外。これは最初の桜花以外のヒロインに期待できないとの予想がいい意味で外れました。
(恐らく最初にルートに入る)薬師涼子は定番といえる健気な後輩キャラといった役回りですが、声優さんが得意とするキャラということもあって、シナリオの深みはなかったもののまずまず楽しめました。続く井之上麗奈は勝気な幼馴染というぼくの大好物であるヒロインということもあって楽しめないはずがないといったところ。実際シナリオも主人公と過去因縁があった波多野美奈の関係や麗奈と父親との確執を絡めながらなかなか快調に進んでいきます。読後感だけ考えればこのルートが一番ぼく好みだったように思います。
この雰囲気がやや怪しくなってくるのが、(順当なら次にプレイすることになる)鵲(かささぎ)雫ルートからで、中盤まではともかく終盤主人公と雫が鏡の世界に囚われるという展開は今後の伏線のことを考えれば必要だったのかもしれませんが、これまでの雰囲気を壊してしまって逆効果に思えました。それは続く藤宮汐音ルートも同様でこれも石に関する伏線に囚われすぎて、主人公と汐音の大事な初体験シーンを台無しにしているしあまり買えない。こうした犠牲の上に成り立っている桜花ルートはさすがによくまとまっている(といっても伏線の解明法についてはやや疑問点はありますが・・・)のですが、それでもあっさりしているのは確かでプレイ後に何か物足りない感が残るのです。

そういった意味では批評空間でやや低迷(それでも中央値を考えれば立派なものですが)気味の評価も分かる気がします。内容的にも名作級にはほど遠いと言わざるを得ません。ただ丸っきりの凡作と貶めるほどのゲームではなかったのは確かです。いや雰囲気よくプレイできたという意味では、良作といっても過言でないくらい楽しめたのは事実。それに久々にオダワラハコネ氏(波間の国のファウスト以来)の原画を見たのですが、非常に進化していたことにも驚かされました。もはやベテランの域に達している原画家さんですが、まだまだ進化を続けているという点は流石だと思います。ただ少々残念だったのは冒頭や序盤での探偵役としての桜花はキャラ的に魅力的だったのですが、ヒロインとして見ると魅力が薄くなったような気がしてならないのです。まあこれは最後萌えからシナリオに重点を置いていったためではないかと思ったりしたのですが、それよりもぼくが人外ヒロインが苦手という嗜好の問題が大きいかもしれませんね。

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