2016年04月03日

遺産のおかげかもしれないが・・・

今回はつよきすFESTIVAL(CandySoft)の所感をサラっと書いてみようかと思います。

一応前作のつよきすNEXTファンディスクという扱いとなっていますが、つよきすシリーズ10周年記念ということで、先代つよきすメンバーの後日談もおまけとしてあるのが嬉しい。もちろんその後日談も初代つよきすでなくライターのさかき傘氏が担当した3学期からとなるわけですが、実際面白かったのはシナリオ全般に亘って初代つよきすメンバーが登場するシーンというのが、NEXTの立ち位置を表していて何か物悲しくなってしまいます。

といってもメインコンテンツはNEXTの登場ヒロインのアフターと前回非攻略だった尽神吉祢(きつね)と新キャラである霧夜勝気の追加シナリオという構成である以上、やはりそれに触れないわけにいかないのですが・・・

まずきつねシナリオですが、本編で敵役というかウザキャラに近い存在だった彼女が追加ヒロインに選ばれたというのは正直驚きました。主人公であるナギに対し一方的な逆恨みともいえる憎悪を向けるきつねを果たしてどうヒロインとして昇格させるのかが注目だったのですが、プレイした印象では強引さを拭えなかった。もちろん男女の恋愛関係なんていうものは、どんな切欠で発生するか分かったものでないのですが、ぼく的にはきつねをヒロインとして見るのは少し苦しかった。それに比べるともう一人の勝気の方はヒロインらしく仕上がっていました。というより、本編のヒロインルートを含めても彼女がナギに1番似合いのヒロインらしく思えてなりませんでした。
というのも人間として未熟なところ(若いともいう)が多いナギを一番成長させてくれたのは彼女のような気がしたから・・・そしてそれと同じくして勝気も成長していくので、いい補完関係となっているのですね。例えばこれが本編のトゥルールートである澄香は結局成長しないままラストを迎えたし(本編の悪役である衣の小物ぶりが、今回のFDでより小物らしくなっているのは楽しいが)、子羽はナギを甘やかすのが主で成長させるという意味では不適だった。(もちろん2人がこれから幸せな人生を送ってくれるなら部外者が口を挟むことではないですが)それに比べると勝気はナギと一緒にボクシング対決に挑むことによって大きな転機を迎えるし、またナギも勝気によって少しづつ変わっていきます。そういった意味では本編を含めベストカップルではなかったかと思うのですね。

さてこのFDのもう1つの楽しみだった伝説世代(先代)との絡みですが、NEXTでは存在しか明らかにされず決して登場することのなかったメンバーが総出演してくれます。カニは背こそ伸びたものの相変わらずカニのままだったし、フカヒレは相変わらず一般人を踏みはずしてしまいそうなタイトロープを華麗にステップしてくれます。それでも彼らは決してあの頃の彼らではなく、年月を重ねた大人っぽさをそれぞれ醸し出してくれてます。主人公であるレオを含めそんな大人になった彼らが生きている世界は感傷深かったのですが、ただ各ヒロインのアフターはどれも容量は少なくて残念。それでもレオがどのヒロインと恋愛関係になるかでNEXTの交友関係がそれぞれ変わるのは、興味深かったですし、またNEXTの各ヒロインのおまけルートでも先代のキャラが出張していて、雰囲気的には楽しめました。

といってもそんな先代を引き継ぐのはタカヒロ氏が担当した初代つよきすでなく、当然ながらさかき傘氏が担当した3学期であるのは注意しておきたいところ。初代と3学期は一長一短あって優劣付けがたいのですが、レオがどのヒロインとも付き合わなかったNEXTの世界観においてレオの恋人の位置に一番近い存在であるのが素奈緒というのが興味深い。3学期で1番優れていると感じたのが素奈緒ルートだったので、レオと素奈緒が友人以上恋人未満の関係にあるというのはぼく的には納得できました。まあこれは趣味の問題かもしれませんが。

ただNEXTのヒロインを含めこれだけのアフターを用意できたところを見ると、本当にさかき傘氏は後日談を得意とするライターですね。もちろんヒロインのアフターということもあってハッピーエンドばかりですし、展開も似てくるのは止むを得ないところですが、NEXTだけでなくタカヒロ氏が作った初代つよきすの世界までそれほど違和感無くまとめ上げるところは流石といっていいと思うのですね。NEXTとひこうき雲の向こう側 (FLAT)は批評空間の評価ほど楽しめたゲームではなかったので心配したところもあったのですが、やはり腕利きのライターと再認識させられました。

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