2016年06月27日

シナリオに期待するのは禁物

先日、既にプレイを終えた美少女ゲームを某ショップに持ち込んできました。
ここ1年以上、溜め込んだゲームの数はというと20本以上で、持ち込むのも一苦労。その苦労の甲斐あって若干部屋は広くなったような気がしないでもないのですが、、それでも積みゲーは数限りなくあって、まだまだプレイするゲームには事欠きません。

そんな積みゲー崩しですが、ようやく今年発売のゲームに手を付け始めました。(といっても今年は5本きりしか買っていないのですが・・・)その1番手は恋する乙女と守護の楯 ~薔薇の聖母~(AXL)です。

(ここからネタバレ)

AXL初期の作品群で一番の成功作といって過言でない恋する乙女と守護の楯 の続編ということで、古くからのファンにとっては期待していたゲームだったと思うのですが、何せ10年近く前の作品ですから当時どれだけプレイした人が生き残っているかは微妙・・・まあ中古やダウンロード版などで現在でもプレイするのは可能ですが・・・。本来続編を出すならもう少し前作の記憶がプレイヤーに残っているうちにリリースするのが常道ですが、まあこれはAXL側の事情もあるので詮索はやめておきます。ただこれだけ間が空いてしまうと、成功するのは厳しいのではと感じていました。

まあ発売からこれまでの批評空間のデータを見る限り、その予想は的中してしまったわけですが、前作もさして評価していない(というよりかなり辛口の評価を付けた)ぼくにとっては必然といっていいものでした。というより前作を貶しているならなぜ続編を買ったのかと問い詰められそうなのですが、これは前作がシナリオゲーとして見ると落第でも、キャラについてはなかなか良かったからですね。ぼくは前作をプレイする際、話の論理性や伏線を重視して読み進めていったために、貶すしかなかったわけですが、最初からキャラゲーとして読めば(実はバカゲーとして読むのも辛い)もう少し高い評価を付けられたかもしれません。そういった意味で復讐戦のつもりで購入したのです。

そんなわけで、それほど期待して購入したわけではなかったので、概ね批評空間での現評価もおおよそ納得できるものでした。そしてヒロインは魅力的とはいえないまでも、そこそこ可愛く感じられたといった意味ではまずまずでした。
ただ女装主人公ものに付き物といっていい、女装バレについては今回完全に開き直っていました。何せ1番バレの危険性が高い女装での水着姿も、すべて「アイギス社の特殊メイク」で片付けてしまうわけですから。だから女装主人公ものとしての機微については期待できません。そういった意味で前作と同じ主人公であるにも関わらず、彼の魅力に関しては落ちたような気がします。ただヒロインについてはそれほど悪くはなかったです。真愛のおバカさは微笑ましかったし、毒舌家の麻衣とのコンビは軽妙でした。AXLでは定番の青山ヒロインである莉里もボーイッシュな外面と乙女心な内面を併せ持っていて、こうしたヒロイン連の顔ぶれはまずまずといっていいと思います。

ただ(これは予想していたことですが)シナリオについては、まともに読んでいると頭が痛くなるか呆れるかどちらかといったレベル。メーカー発表を信じる限り長谷川藍氏が1人でシナリオを担当しているらしいのですが、まるで複数ライターがシナリオを書いているかのように、ルートによって設定が変わってくるなど辻褄が合わないところが多々あるのですね。
特に気になるのが敵キャラの設定。このゲームはルートによって犯人(ボス)が変わるのですが、それはまあ良いとしてキャラ設定まで変わってしまうのが困りもの。希望ルートで主人公に執着する楓先生が、莉里ルートではそんな気配も見せないのはいかにも不自然だし、すべてのルートで登場するカルキノスの見てくればかりのポンコツぷりも話を寒くさせています。希望ルートの敵陣営の作戦などお粗末といっていいくらいですし、いくらシナリオに期待してないといってもいかにも見所がなさ過ぎます。

(総括)
シナリオの酷さをキャラがカバーするという典型的なキャラゲー。というと当然得点は高くは付けられないのですが、救いはこのシナリオの酷さがヒロインの魅力を貶めていないということ。ソーニャはルートによってやや辛いところもありますが、他のヒロインに関してはまずまず。ただそれなりのレベルを誇るものの、シナリオの助けが無いためかプレイヤーを圧倒するような魅力は感じられませんでした。どちらにしても前作同様に事件の証拠や背景などミステリーものとして読むのは禁物で、あまり深く考えないようある程度アラを流して読むなどプレイヤーの努力を要することは間違いないでしょう。

そんなわけで、当初考えていたより辛辣な所感になってしまったような気がするのですが、プレイしていてイラついたりはしなかったのは事実。これより酷いゲームはいくらでもあるわけで、それらと比べればあくまで平均レベルのデキだったと思います。

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