2016年12月19日
幹を腐らせた枝葉の罪
相性のいい悪いというのは誰しもあるものですが、ぼくにとって相性の悪いメーカーの代表がChuablesoftではないかと思います。なぜか批評空間で高評価を得ているゲームは見送って、評価が低迷しているゲームに限って手を出したりする。これが某メーカーのようにどれもが地雷と云われるものばかり出しているなら、購入しても半分諦めているかダメなのを覚悟していますし、さもなくばそもそも買ったりしません。それがつい手を出してしまうということはぼくにとって何かしら買いたくなる魅力を備えているということなのでしょう。
そんなぼくが購入したChuablesoftの4本目のゲームが私が好きなら「好き」って言って! です。これまで購入した4本の中で批評空間での評価は1番高く、ライターもデビュー作のあの晴れわたる空より高くで成功した範乃秋晴氏と期待できる材料は揃っていました。
ただ気になったのはそれなりの評価とはいえあの晴れわたる空より高くと比べると、明らかに批評空間での中央値は低かったこと。そして前作とは作品の傾向が変わっていること。そう考えるとやはりそれほど期待できないのではないかという気もしていました。
(ここからネタバレ感想)
毎日画面に現れるイベントを選択していって結果ヒロインの好感を上げていくというゲームは過去いろいろリリースされているのですが、成功したというイメージはあまりありません。ぼくのプレイしたゲームでいうと古くはFESTA!! -HYPER GIRLS POP- (Lass)。コットンソフトのナツメグ、 ナギサの ~Around The Seaside~といったところが挙げられるのですが、この3点に共通するのがイベントの数が少なくて、周回プレイすると最後にはほとんど既読イベントばかりになってしまうということです。
その点、このゲームはその欠点を何とかしようとする工夫は見られます。イベントの数は多いし、イベント選択によっては見られないCGもかなりあって、完全攻略となるとなかなか難しい。それに恐らく最後にプレイすることになるであろうリンカルートはそうしたイベントがあらかた既読になった後に現れたりと、最後まで飽きさせないようにしようとする意図は見られます。
ではそれが成功したかと云われると、ぼくは首を横に振らざるを得ないのですね。その理由はイベント数こそ多いのですが、同じような会話パターンやギャグが多く水増しをした感が漂っているからです。特に気になるのはメインヒロインの一角を占める友希が延々と繰り返す下ネタでこれには本当に閉口させられました。ライターは果たしてこれを面白いと思って入れたのか、それとも友希のキャラクター付けのつもりで行ったのか分かりませんが、どちらにしても話のテンポを阻害するばかりで逆効果としか云いようがありません。下ネタというのは要所要所ピンポイントで行うから効果があるわけで、友希のように下ネタを繰り返すのではただの痴女にしか見えません。それともライターはプレイヤーに友希を痴女と思って欲しくて繰り返しさせたのでしょうか?
正直この時点でぼくがこのゲームに対するモチベーションは地に落ちかけたのですが、それは別としてこのゲームのヒロインは友希を含め総じてどうもぼくの琴線に触れるキャラがいないのですね。ぼくが前回プレイしたChuablesoft作品である残念な俺達の青春事情。と比べ原画やCGがやや好みから外れたこともあるのですが、プレイしていてヒロインが可愛く感じられないというのは、日常会話でヒロインの魅力が引き立つような台詞やイベントが足りないということで、これはライターの責任が大きいといえます。このゲームをプレイする限りライターである範乃秋晴氏は萌えゲーのシナリオを書くのは向いていないのではないかと思ってしまったくらいです。
ただライターの才能が表れている部分はあります。
このゲームの主眼は恐らく彩雨ルートで、ぼくが思うにライターは最初この彩雨ルートのストーリーを考えて、それから他のルートの話を膨らませていったのではないかとぼくは考えます。彩雨は病弱で喘息持ちのお嬢さまという設定ですが、ルート終盤で喘息でなく化学物質アレルギーによるものと分かります。主人公が園芸部で農業を行ったり、シックハウス症候群に罹患したりなど序盤から伏線を張っていて、彩雨の病気の正体も唐突感はありませんでした(逆に驚きもさほどありませんでしたが)。そしてこのゲームの重要キャラであるQPの存在が一番生かされるのもこの彩雨ルートであり、このルートのみ取り上げれば、それほど悪くないというよりむしろ良作に分類されてもいいかと思うくらいです。
ただこの彩雨ルート以外がほぼ壊滅的なデキというのがあまりに痛い。主人公がバイトするレストランを舞台に展開される友希ルートは、農業絡みから膨らませ主人公に料理人志望という設定を与え彩雨ルート同様の伏線を張ったつもりなのですが、友希のキャラ性から全くといっていいくらい楽しめず、内容も平凡といっていいデキでしたし、もう1人のヒロインであるまひるはあまりの幼児的な行動に中途何度もプレイを止めたくなったほど。これではいくら中心になるルートが良くてもとても合格点は与えられません。
(総括)
このゲームをプレイする限り、ライターの範乃秋晴氏は芯のあるシナリオは書けても、軽快なコメディを書くことに関しては不得手と云わざるを得ません。前作が好評だったということは、(プレイしてないので想像ですが)彩雨ルートのような話を幹にしてうまく枝葉をつなげていったのでしょう。それに比べると今回の膨らませていく仕事ぶりは手際が良かったとはとても言えないものでした。あえて弁護するとしたら毎日イベントを選んでいくシステムに問題があったといえるのかもしれませんが・・・
このゲームのみで氏の評価をするのは(見所ある部分があったこともあるのですが・・・)不公平と思いますので、次回は氏の得意な土俵で勝負してもらいたいとぼくは思うのですね。
そんなぼくが購入したChuablesoftの4本目のゲームが私が好きなら「好き」って言って! です。これまで購入した4本の中で批評空間での評価は1番高く、ライターもデビュー作のあの晴れわたる空より高くで成功した範乃秋晴氏と期待できる材料は揃っていました。
ただ気になったのはそれなりの評価とはいえあの晴れわたる空より高くと比べると、明らかに批評空間での中央値は低かったこと。そして前作とは作品の傾向が変わっていること。そう考えるとやはりそれほど期待できないのではないかという気もしていました。
(ここからネタバレ感想)
毎日画面に現れるイベントを選択していって結果ヒロインの好感を上げていくというゲームは過去いろいろリリースされているのですが、成功したというイメージはあまりありません。ぼくのプレイしたゲームでいうと古くはFESTA!! -HYPER GIRLS POP- (Lass)。コットンソフトのナツメグ、 ナギサの ~Around The Seaside~といったところが挙げられるのですが、この3点に共通するのがイベントの数が少なくて、周回プレイすると最後にはほとんど既読イベントばかりになってしまうということです。
その点、このゲームはその欠点を何とかしようとする工夫は見られます。イベントの数は多いし、イベント選択によっては見られないCGもかなりあって、完全攻略となるとなかなか難しい。それに恐らく最後にプレイすることになるであろうリンカルートはそうしたイベントがあらかた既読になった後に現れたりと、最後まで飽きさせないようにしようとする意図は見られます。
ではそれが成功したかと云われると、ぼくは首を横に振らざるを得ないのですね。その理由はイベント数こそ多いのですが、同じような会話パターンやギャグが多く水増しをした感が漂っているからです。特に気になるのはメインヒロインの一角を占める友希が延々と繰り返す下ネタでこれには本当に閉口させられました。ライターは果たしてこれを面白いと思って入れたのか、それとも友希のキャラクター付けのつもりで行ったのか分かりませんが、どちらにしても話のテンポを阻害するばかりで逆効果としか云いようがありません。下ネタというのは要所要所ピンポイントで行うから効果があるわけで、友希のように下ネタを繰り返すのではただの痴女にしか見えません。それともライターはプレイヤーに友希を痴女と思って欲しくて繰り返しさせたのでしょうか?
正直この時点でぼくがこのゲームに対するモチベーションは地に落ちかけたのですが、それは別としてこのゲームのヒロインは友希を含め総じてどうもぼくの琴線に触れるキャラがいないのですね。ぼくが前回プレイしたChuablesoft作品である残念な俺達の青春事情。と比べ原画やCGがやや好みから外れたこともあるのですが、プレイしていてヒロインが可愛く感じられないというのは、日常会話でヒロインの魅力が引き立つような台詞やイベントが足りないということで、これはライターの責任が大きいといえます。このゲームをプレイする限りライターである範乃秋晴氏は萌えゲーのシナリオを書くのは向いていないのではないかと思ってしまったくらいです。
ただライターの才能が表れている部分はあります。
このゲームの主眼は恐らく彩雨ルートで、ぼくが思うにライターは最初この彩雨ルートのストーリーを考えて、それから他のルートの話を膨らませていったのではないかとぼくは考えます。彩雨は病弱で喘息持ちのお嬢さまという設定ですが、ルート終盤で喘息でなく化学物質アレルギーによるものと分かります。主人公が園芸部で農業を行ったり、シックハウス症候群に罹患したりなど序盤から伏線を張っていて、彩雨の病気の正体も唐突感はありませんでした(逆に驚きもさほどありませんでしたが)。そしてこのゲームの重要キャラであるQPの存在が一番生かされるのもこの彩雨ルートであり、このルートのみ取り上げれば、それほど悪くないというよりむしろ良作に分類されてもいいかと思うくらいです。
ただこの彩雨ルート以外がほぼ壊滅的なデキというのがあまりに痛い。主人公がバイトするレストランを舞台に展開される友希ルートは、農業絡みから膨らませ主人公に料理人志望という設定を与え彩雨ルート同様の伏線を張ったつもりなのですが、友希のキャラ性から全くといっていいくらい楽しめず、内容も平凡といっていいデキでしたし、もう1人のヒロインであるまひるはあまりの幼児的な行動に中途何度もプレイを止めたくなったほど。これではいくら中心になるルートが良くてもとても合格点は与えられません。
(総括)
このゲームをプレイする限り、ライターの範乃秋晴氏は芯のあるシナリオは書けても、軽快なコメディを書くことに関しては不得手と云わざるを得ません。前作が好評だったということは、(プレイしてないので想像ですが)彩雨ルートのような話を幹にしてうまく枝葉をつなげていったのでしょう。それに比べると今回の膨らませていく仕事ぶりは手際が良かったとはとても言えないものでした。あえて弁護するとしたら毎日イベントを選んでいくシステムに問題があったといえるのかもしれませんが・・・
このゲームのみで氏の評価をするのは(見所ある部分があったこともあるのですが・・・)不公平と思いますので、次回は氏の得意な土俵で勝負してもらいたいとぼくは思うのですね。
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