2018年09月01日

あっぷりけとの違い

最近新作ゲームをほとんど購入してなくて、プレイしているのはずっと昔買ったままシュリンクを破らず放置していたものばかり。その中で今回崩したのは、昨年発売されたヤミと祝祭のサンクチュアリ(あざらしそふと零)で、最近プレイしたものの中ではまだまだ年数は経っていないもの。
このゲームを購入した理由はライターが桐月氏だったというのがほとんどなわけで、あっぷりけでオダワラハコネ氏と組んだ一連の作品はどれも好評です。
といってもぼくがプレイしたのは花の野に咲くうたかたのだけなのですが、(実はコンチェルトノートと黄昏のシンセミアの2本は発売日購入したまま、放置してあるのですが・・・)ただその一番評価の低い花の野に咲くうたかたのでも、ぼくはまずまず楽しめたので、ノラと皇女と野良猫ハート2を買ったついでにもう1本といった感じで購入したのです。
ただ気になったのは、桐月氏がオダワラハコネ氏以外と組んだ紅蓮華は原画家にねこにゃん氏を得ながら、意外に評価は高くない。となると桐月氏はあっぷりけでないと本領発揮できないのではないか・・・といったそこはかとない不安が頭をよぎったのは事実・・・で、結果だけ見るとその予想はほぼ当たってしまったというのが辛いところ。

(ここからネタバレ)


ではなぜそうなってしまったかというと、実はこのゲーム。桐月氏が担当していたのはメインヒロインの姫神亜梨栖だけで、他の3人は温泉大祐が担当していたのですね。桐月氏がこれまで手がけた作品はほぼ1人で手がけてきただけに、まさか他のライターが加わっていたというのは予想外でした。そのライターである温泉大祐氏は実績から考えるとまずまずの仕事をしたといえるかもしれないのですが、それでも言えるのは伝奇ものとしては明らかに喰い足りないところ。特にこのゲームは主人公が高スペックすぎて、どんな強敵が出てきても負ける気がしない。中盤で化け物じみた能力を持つ会長(彩夏)と対決しても互角近い勝負になるわけですから、エリスあたりがいくら頑張っても主人公にひねられるのがオチ。そういった意味でバトルに盛り上がりが欠けるのです。
桐月氏が担当した唯一のルートらしい亜梨栖ルートは主人公と亜梨栖の家に仕掛けられた盗聴器の謎を始めとして、主人公の戦闘力だけでなく、亜梨栖の知力も生かされて徐々に盛り上がりを見せてくれます。そして一番の謎である静の存在。容姿から行方不明になった亜梨栖の姉であることに疑いないように見えるのですが、ではなぜその記憶を失くしているのか。深夜外出禁止や課外授業など学園のルールにも素直にうなずけない謎が満載で、そういった伏線を桐月氏はどう解決するのか楽しみで仕方なかった。
つまり温泉大祐氏が担当したルートではそういった謎を解明するワクワク感がほとんどなかったのが、喰い足りなさに写ったのではないかと思うのです。なにせ先に述べたとおり、この主人公の設定でバトルをメインにしても結果が分かりきっているだけに面白みに欠けるのです。
ただその亜梨栖ルートにしても桐月氏にしては伏線の回収についてはそれほど手際が良かったといえなかった。これはストーリーの構成上仕方なかったかもしれないが、謎についてさほど勘が鋭いといえないぼくでもほぼ分かったくらいですから、それ以外に終盤物語を引っ張る何かが欲しかったところ。常道でいえば主人公と敵とのバトルということになりそうですが、前に述べたとおり、このゲームは主人公が強すぎてなまじな敵では相手にならない。また最終ルートでの障害となる彩夏も本当の敵とは言いがたい存在とあって、バトルものとして見るとどうしても盛り上がりに欠けるのです。
ただぼくの個人的な見方としては桐月氏の本質はバトルものではないと思っているので、この点を愚痴っても仕方がないといえます。となるとこのゲームの評価が今ひとつと感じられたのは伝奇ものとして引っ張る力が不足していたのではないかと・・・そして突き詰めれば、あっぷりけの一連の作品群と違い桐月氏がルート全部を手がけなかったことが、伝奇としての物語全体のパワー不足に繋がったと思えてならないのです。

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