2008年03月25日

好スタートを切った準会員勢

JFL(日本フットボールリーグ)も3節まで終了したがJ1と同じく昨年優勝のSAGAWA SIGA FCが1勝も挙げられないなど波乱含みの展開となっている。
SAGAWAは得点王の御給がJ2の横浜FCへ移籍するなど今季の苦戦は予想されたが、まさか3試合で勝ち点1しか挙げられず16位に沈むなど誰が予想できたであろうか。二位以下を圧倒的に引き離す昨年の無敵ぶりを知っているだけにこの不振ぶりは違和感がありすぎる。

一方好調なのが準会員勢の栃木FCファジアーノ岡山だ。
栃木の好調ぶりはほぼ予想通りといえる。今季は昨年の反省からか全選手とプロ契約を結び大量のJ経験者を迎え入れるなど大改革を決行。昨年途中就任でチームを掌握しきれなかった柱谷幸一監督も今季は一からチーム作りをしただけあって昨年見られなかった勝負強さが出てきている。特に第2節FC刈谷のホームに乗り込んだ一戦では昨年16位ながら今季好調なホームチームに苦戦を強いられながらも終了間際新加入の落合(柏→川崎)のゴールで勝ち点3をしっかり稼ぐ一方、次節では三菱自動車水島に5-0で圧勝とJ2昇格の4位以内どころかダントツの優勝さえ狙えそうな勢いだ。
逆に今季JFLに昇格してきた岡山の好調ぶりは驚きだ。昇格チームといっても準会員チームとしてJ2参入を視野に入れているだけあって、それなりの戦力は整えてはきていた。といっても昨年JFLに昇格しそのまま一年でJ2に駆け上がってったFC岐阜のように大量のJ経験者を補強したわけではなく、新加入で著名どころといえば小林(水戸→徳島)金光(桃山学院大)、尾崎(桃山学院大)くらい。それが開幕節でJ2の番人と揶揄されている昨年5位のHonda FCを破ると、続いてカターレ富山SAGAWA SHIGAを撃破し3連勝するなど完全に勢いに乗った格好だ。その要因はここまで4ゴールを決めるなど絶好調のFW喜山だろう。東京ヴェルディからレンタル移籍して二年目。移籍期間を延長して臨んだ今季はまさに若きエースに相応しい活躍を見せている。

その他の準会員勢もまずまず好調だ。
富山の強豪企業チームYKK APアローズ北陸が合併して産まれたカターレ富山は昨年4位と6位のチームが合併したチームだけに当然今季のJ2昇格を視野に入れているであろう。ただ昇格チームのニューウェーブ北九州と岡山相手に勝ち点1しか稼げず、第3節では昨年ダントツ最下位のアルテ高崎相手に逆転勝ちとまだ本調子にはほど遠い。それでも昨年までライバルとして競い合ってきただけに一つのチームとしてまとまっていない現状を思えばまずまずのスタートともいえる。今後の躍進は経験豊富な楚輪監督の手腕次第だろう。
ガイナーレ鳥取も今節まで2勝1敗の勝ち点6とまずまずのスタート。今まで中位以上の成績を上げたことはなかったが今季は本気でJ2昇格を狙っているのではという補強を敢行してきた。それが元日本代表DF小村(横浜FC)の加入だ。精神的支柱として彼の存在は昨年精神面の弱さが指摘されたチームには大きな存在になるだろう。他にも吉野(横浜FC)、小井手(鳥栖)、吉瀬(札幌)らが加わったが個人的注目しているのは新潟シンガポールから加入した尾崎瑛一郎だ。高卒ルーキーとしていきなり新潟でJデビューしたときはそのいきのいいプレーぶりに目を奪われたが、その後は活躍を聞くこともなく新潟シンガポールへ(言葉は悪いが)島流しされてしまっていた。今回は久々の日本帰還で燃えているだろう。実際第2節の流通経済大戦では2ゴールの活躍。第3節で初黒星を喫したが尾崎を始め新加入選手の活躍次第では今季の台風の目になりえる存在だろう。不安はタイ人監督ヴィタヤ・ラオハクル監督の能力が未知数なところ。今後チームが落ち込んだときに立て直す手腕を持っているかどうか注目して見てみたい。
今節まで勝ち点2のニューウェーブ北九州の昇格は現実的にはやや厳しいかもしれない。小野信義(横浜FC)、藤吉(元仙台)、水原(東京V)らベテラン勢の力は侮れないが、JFLは夏でも昼間に行われることが多く選手層の薄さが気になるからだ。それでもリーグをかき回す存在として頑張ってほしい。

こうしてみると準会員勢の好調ぶりが目立つ。昨年から4位までに入れば昇格と枠が広がっただけに中位クラスのチームには夢のように思えていたJ2もそう遠くない存在として認識されてきたのかもしれない。それに現在のJ2チーム数は15で恐らく残りの昇格枠は5つであろう。となると今後JFLに昇格するチームや新たに準会員として申請してくるチームのことも考えて「ここらで昇格しておかないと」という気持ちになってきたのかもしれない。
現在のJ2のチーム数はJ1のチーム数と比べて明らかに歪だ。それだけに今季一気に3チームくらい昇格して欲しいという気持ちは大きい。もちろん昇格ありきで突き進んだあげく経営が破綻してしまった某チームのようになってはどうしようもないが準会員勢には昇格目指してこのままの状態をキープして欲しいところだ。

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