2008年10月05日

もう一つの長文感想

先日クリアしたゲームのうちプリンセスラバーの感想を批評空間へ投稿したのですが、改めてその長文感想を読み返してみると自分が考えている以上に辛口になってしまっていて、良い点についてはほとんど触れていない・・・ということで、こちらでは誉めるべきところは誉めておこうかなと。

プリンセスラバーがシナリオについてやや物足らない部分があるのは認めざるを得ないのですが、大多数のお嬢さまゲーに登場するヒロインが全くお嬢さまらしくないいわゆるエセお嬢さまばかりなのに対して、このゲームに登場するヒロインはなかなか高貴な雰囲気が出ています。それはライターの研究の表れでもあるし、また原画家の絵柄がお嬢さまっぽい雰囲気を自然に漂わせていてかつ服装等のアイテムに気を配っていたことにもよるでしょう。もしかしたら原画家のこもり氏の絵柄に合わせてこのお嬢さまゲーの企画が成されたのではと思いたくなるほどです。
また散々に批評空間の感想ではライターの尾之上氏を貶してしまったのですが、決して彼の仕事ぶりが悪かったわけではありません。
主人公を自分の薬籠中の人物を起用したのも、無理に自分が不得手なタイプの主人公を起用してストーリーを壊してしまうよりも手馴れたタイプの主人公のほうが良策との判断からでしょう。
物語を書いた経験のある方ならお分かりかもしれませんが、主人公キャラクターというものは作者自身の考えが自然に投影されてくるため、話が違っても考え方は似てしまいがちになるのです。これは丸戸史明氏のような著名ライターでも例外でなく、どのゲームでも登場する主人公の思考についてはよく似てしまっています。よって尾之上氏が自分の考えを投影しやすい設定の主人公にしてしまったのも無理からぬことだと思うのです。もし主人公を庶民の出とせず最初から富豪の家庭に育ったことにしたら、性格・思考の点でより不自然さが目に付いてしまっていたでしょうから。

つまり尾之上氏は力量以上とはいえないにしても、それなりの力をこのゲームで発揮してしたと思います。このゲームで一番の良シナリオといえば一見色物ヒロインに思えるシルヴィアシナリオであり、このシナリオは尾之上氏の一連の作品の中でもかなり上位にランクされてもいいかと思います。逆に聖華シナリオは尾之上氏の弱点である主人公のヘタレさが如実に表れていてしまっていて、作品の価値を損ねてしまっています。ぼくが見る限り体型などバランスが取れていて一番魅力的に思えたのは聖華だったのでその点に関しては非常に残念な思いがします。
もし聖華シナリオがそれなりに満足できるものだったならば、もう少し評価が高くなっていたかもしれません。あくまでぼく個人の評価ですが。

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