2008年11月13日

相変わらず起きるベストメンバー問題について考える

毎年1度は必ず現れるJリーグの「最強チーム規定」いわゆるベストメンバー問題だが、今年も例年のように発生した。先日行われた天皇杯でJ1の大分と千葉が直前の公式戦とは明らかに違うスタメン・・・言葉は悪いが二軍同然のメンバーを起用して敗れたのだ。この両チームの選手起用に対してJFAの犬飼会長は厳罰に処する意向を示したという。

協会幹部の相変わらずの脊髄反射的対応に眉をひそめるというかどうにも呆れてしまうが、会長は毎年の如くこのような問題が起きることになぜ疑問を持たないのだろうか?
大分や千葉が何の理由も無くこのような選手起用をしたわけではないことくらい、誰にでも分かることだ。大分はリーグ優勝に向けて好位置に付けているし、千葉は逆に降格の危機に瀕している。天皇杯よりも3日後の試合に力を入れたいのは自明の理だ。こんなことは日本だけでなく欧州でもよくあることで、実際今週もイングランドのリーグカップで首位のチェルシーが2部チームに敗れ、スペイン国王杯でもレアル・マドリーが3部チームに負けたとのニュースが伝わってきた。欧州では上位チームが直前のリーグ戦とは違う選手をスタメン起用して格下に苦戦するというのは毎年の恒例行事だ。欧州サッカー通を自認し欧州基準に合わせてJリーグの秋春制を強く推している会長ならまずは毎年のように噴出するベストメンバー問題こそ欧州基準で考えてもらいたいものだ。
それにもしJリーグが主力選手の起用を強制してその選手が不測の事態に陥り以後の試合を欠場する羽目になったらリーグはどう責任を取るつもりなのか?実際東京ヴェルディは天皇杯のサンフレッツェ広島戦でエースのディエゴが退場してしまい以後のリーグ戦への出場が不可能になってしまった。そのためか直後のヴィッセル神戸とのリーグ戦で「このままなら100%(J2に)落ちる」と柱谷監督に言わしめるほどの完敗。乱暴行為での出場停止だけに自業自得のように思われるかもしれないが、もし柱谷監督がディエゴを欠場させていれば神戸戦でまた違う結果が出ていた可能性は高い。筆者に言わせれば余分なカードを貰うことが多いディエゴを天皇杯に出場させるべきではなくリーグ戦のために温存しておくべきでいわば柱谷監督のボーンヘッドに近い。もしヴェルディが降格するとしたら柱谷監督が天皇杯にディエゴを出場させたことは痛恨の極みといえるだろう。ライバルである千葉のミラー監督は大笑いしているに違いなくまた自分もそのような愚を犯すことを恐れ天皇杯でメンバーを落とした選手起用をしたに違いない。

話は戻るが実のところ大分や千葉だけでなく他のJ1チームも直前のリーグ戦から比べるとかなりスタメンをいじってきた。なぜこのようなことが年中行事のように頻繁に起きるかというとカップ戦に魅力がないからだ。もし協会がカップ戦でメンバーを落とした選手起用をされたくないならば罰則で縛るよりカップ戦の魅力を上げることに力を注ぐべきだ。そんな努力を全くせずにただお題目のように「最強チーム規定ルール」を唱えるだけではそのうち見捨てられるだけだろう。チームやマスコミではなくサポーターにだ。

もしこのような問題が起きたとき唯一チームに罰を与えることが出来るとしたらそれはサポーターだけであろう。高い入場料を払って主力選手が出なかったとしたら「金返せ!」といいたくなるはずだから。しかし実際起きた例は反対なのである。
昨年川崎フロンターレに似たような災難が降りかかりJリーグが川崎に対し罰則を与えようとしたとき、その処分に公然と反旗を翻したのは川崎サポーター達だった。もし川崎サポーターが主力選手を出場させなかったことに対し怒っているとしたら、リーグではなくこんな選手起用をしたチームにブーイングをするだろう。
筆者がもし大分や千葉のサポーターだったとしたら川崎サポーター同様、監督の選手起用は充分理解できるし、優勝を目指す大分はともかく千葉が主力選手を天皇杯に起用したとしたら「降格の危機が迫っているのに何を考えているのか!」と逆にブーイングしていたに違いない。
つまり協会の考えとサポーター達の考えはこれほど乖離しているのだ。サポーターの心が分からないのだから代表チームの試合に観客が集まらなくなったのも当然のことだろう。代表チームの観客=各チームのサポーターなのだから。

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