2009年08月06日

花にも乙女と同じ祝福を

先週でようやく花と乙女に祝福を(ensnble)が終了しました。例のごとくルート別でかなり出来不出来の差があるゲームでしたが、これは主人公の能力の低さによるものでしょう。
ダメなルートは祈&眞弥子の後輩2人のシナリオで彼が自分の能力の低さを省みず背伸びをしてヒロインにいい所を見せようとして自爆するという筋はプレイして余り気分のいいものではありませんでした。つまり彼は処女はお姉さまに恋してる(キャラメルBOX)の瑞穂のようなお姉さまにはなれなかったわけで、もしおとボクのようなゲームを期待してこのゲームをプレイしたとしたら裏切られるのは必定でしょう。
といっても決して凡百のダメ主人公ではないのがこのゲームのミソで、彼の本領が発揮されるのはお姉さまタイプのヒロイン相手。後輩ヒロイン相手と違い自分の能力の低さを省みずお姉さまヒロイン相手に尽くす姿は決して悪いものではありませんでした。普通ならこういったタイプの主人公はお嬢さま学園潜入ものでは珍しいのですが、容姿だけでなく性格までも生徒会ルートでは女性のように可愛くなってしまっていて、そのルートのみ取り上げるとゲーム中一番の萌えキャラは主人公では?と言われるのも肯けるものはあります。
ただここで問題になるのは7月6日のコラムで述べたような一人称の問題。この主人公は男性の姿でいるときなぜか自分を「オレ」と呼ぶ(女性のときは私)のですが、これが全く似合わず雰囲気を壊す原因になっています。個別ルートで男性の姿でいるシーンの多い祈&眞弥子ルートの評価が低いのはこの一人称問題も一枚噛んでいるかもしれません。正直この後輩2人のシナリオはこのゲームの評価を下げる一因になっています。

ではライターはなぜ主人公にそぐわない「オレ」などという呼称を使わせてしまったのでしょうか?いろいろ想像は出来るのですが、ぼくが有力ではないかと思っている説は「もともとこのゲームは女性が主人公として制作されたのではないか」ということです。つまり最初のプロットでは主人公は晶子で彰との双子という設定はなくルートも生徒会ルートのみでレズゲーとして考案されていたのではと考えているのです。この原案を男性向けエロゲーとして商業ベースに乗せるにあたって主人公を男性に変えルートも園芸部(後輩)ルートを増やしたのではないかと・・・

ぼくがなぜこう考えたかというと、そもそも器用な性格と思えない主人公が服装が変わっただけで「オレ」「私」と人称を使い分けることは出来ないだろうと思ったからです。少なくともこの影響されやすい主人公の性格ならば、学園生活が長くなるにつれ「オレ」から普段使っている「私」に変わってしまうのが普通でしょう。それが一流の役者のように小器用に人称を変えるのを見て何か不審な臭いを嗅ぎ取ったのです

ただ問題だったのは最初に設定した晶子の性格をそのまま彰に変換してしまったこと。いくら双子とはいえこれでは晶子と彰の区別が付かないということで、主人公の彰を少しでも男らしく見せたい故に「オレ」という呼称を付け差別化を図ったのでしょう。これはもともとの人格である晶子と差異を出すための策でありそれについては成功した(妹の晶子が全く病弱に見えないのは苦笑するしかないですが)かもしれませんが園芸部ルート(特に祈&眞弥子ルート)の酷さを考えるとシナリオ的には失敗だったと思うのです。
実際よくよく考えると、聖佳ルートは主人公が男性でいる必然性はさらさらないし志鶴ルートや薫ルートも聖佳ルートほどではないにしても同じことがいえるわけで、もしかしたら本来の企画どおりレズゲーとして発売されていた方がもっと高い評価を受けたかもしれません。

もしタイトルにある花という単語が園芸部のことを指しているとしたら公平に祝福を与えて欲しかった(個人的に都は好きなキャラ)と思ったわけで、ついこんな穿った見方をしてしまったわけですけど・・・

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