2009年08月16日

雨中を彷徨った価値は?

前回の予告どおり、今回はしにきすこと死神の接吻は別離の味(ALcotシトラス)の感想です。この原画家&ライターのコンビというとぼく的には幼なじみな彼女(イージーオー)が思い出されて最初購入する予定はなかったのですが、発売当日なぜか気になり始めて翌日小雨の中傘も差さずに在庫を求めてショップを駈けずり回ったのは前に話したとおり。そんな苦労をして手に入れた一品にも関わらず積みゲー化してしまうのでは意味が無いと笑われそうですが、これは幼なじみな彼女の印象が強く抜きゲー寄りの内容と思ってしまったことによります。まあエロにも力が入っていたのは確かですがこのゲームの主眼がそれでないことは世評が示しています。

そんなぼくのプレイ感想ですが、このゲームはシナリオゲーというよりも雰囲気を重視した萌えゲーに近いものではないかなと。ただ一般の萌えゲーは序盤~中盤明るい雰囲気・会話でプレイヤーを和ませるのに対し、このゲームは陰鬱な雰囲気で進行していくのが新鮮に感じられました。前にも述べたようにエロにも力が入っていて、この萌えとエロとの絶妙なバランス感がこのゲームが評価を受けている要因だと思っているのですが、そう考えるとこのゲームがフルプライスではなく容量を少なくして値段を抑えたのも納得がいきます。もしフルプライスにすると陰鬱な雰囲気を保つためそれだけ重厚な設定及び世界観が必要となり、萌えゲーから離れていってしまうからです。同じような世界観(味わいはかなり違いますが)のこなたよりかなたまで(F&C)がミドルプライスで成功したように、先達のような腹八分目というシナリオ分量にしたのも成功要因の一つではなかったかと。正直ぼくはこのゲームのシナリオを素晴らしいとまでは思っていませんが雰囲気については高得点を付けられます。

さて優秀な萌えゲーには当然それを支えるヒロインがいるわけで、それが妹の雫であることは衆目一致しているのですが、実のところぼくは雫ルートを買っていません。彼女のルートは同級生であるほのかと同じくメインヒロインである琥珀ルートの伏線としての色合いが強く、彼女のルートでのクーデレぶりは悪くないもののぼく的に絶賛するほどではありませんでした。ぼく的には逆に雫ルートよりほのかルートの方がライターらしさが出ていたのではないかと思ったくらいです。ただこれが琥珀ルートに入るとほとんど出番が無くなるほのかに替わり雫が俄然輝きだしたから不思議。琥珀との掛け合いは軽妙であり、またラスト近くでの主人公との会話は彼女の心情がダイレクトに伝わってきて心打つものがありました。そう考えると全体で一番輝いて見えたヒロインは雫で間違いなく、世間の評価もようやく納得できました。

ラストについてはやや喰い足りない部分はあります。ぼく的にはこのゲームには中途半端なエピローグは必要なかったと思うのですが、このあたりは趣味の問題かもしれません。それでも致命的というほどではなく全体を考えれば萌えとエロのバランスが取れた良作で、雨中を彷徨った価値は充分あったと思います。幸いぼくには死神の接吻は訪れませんでしたしね。

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