2009年09月13日

典型的なキャラクターゲーム

W.L.O. 世界恋愛機構-LOVE LOVE SHOW-(あかべぇそふとつぅ)の発売予定に合わせて急遽本編を進行させていたのですが、遅ればせながらようやくクリアすることが出来ました。購入前の予想と違い非常に時間の掛かるゲームだったのですが、ぼくの感想ではやや冗長感が否めないところはありました。それでもライターの意欲が感じられるゲームであったことは確かで名作には明らかに足りないものの良い意味で印象に残るゲームでした。

このゲームのライターである安堂こたつ氏という名前は聞いたことがなく、他ライターの変名でなければこのW.L.O. 世界恋愛機構 未来のために、いま恋をしよう。がエロゲーデビュー作ということになるようです。ぼくがこの作品で一番感心した点というのはデビュー作品でありながら小さく纏めようとせず自分のやりたい事を出し惜しみせずすべてぶつけてきた事にあります。
特に驚いたのはこのゲームに登場する大量のキャラクターたちのこと。攻略ヒロインこそ6人で他作品と同程度といえますが、サブキャラの数はその倍以上で立ちCGのなく会話だけあるモブキャラも含めるとその数は数え切れないくらいいます。驚くことにどうやら安堂氏はこの主人公のクラスメイト一人一人やW.L.O. の末端構成員といったストーリーの根幹部分に関わらないキャラまで細かく設定している点で、普通のライターならこんな面倒くさいことはまず行いません。
ただこうしてキャラの設定に力を入れすぎた反動が出てしまったように感じられる部分が少なからずあるのがこのゲームの一番の欠点といえます。最初に述べた冗長感というのがまさしくこのことですが、この作品、キャラについて細かく設定している反面、ストーリー上一番重要であるはずのW.L.O.という組織の設定がおざなりに感じられたのが残念なところ。
このW.L.O.というのがどうにも締まらない組織で、どのような組織構成となっているかとかどのような資金源を持っているかなどが全く不明といってよく、自然実行する作戦も大風呂敷を広げたおバカものが多い。それにW.L.O.のライバル組織であるN.O.A.との差がHP上で語られるほどストーリー中で明確に表されなかったのもマイナス材料。イデオロギーや資本などもう少し分かりやすい設定で2つの組織が対立している状況を作り上げていれば、蛍とアリサの険悪さがダイレクトに伝わってきたと思うのです。このあたりの設定をいいかげんにしてしまったためにバカゲー風味がより濃くでてしまったわけですがこの影響をモロに被ってしまったのがW.L.O.内の人物である蛍と依那といえるでしょう。彼女らのシナリオが良く感じられないのもW.L.O.自体の設定の甘さによるものが原因といえるのではないでしょうか。もし安堂氏がキャラクター設定にかけた情熱と同じだけのものをこういった方面にも傾けていれば、蛍と依那のシナリオにもより深みが出ていたことでしょう。

そういった欠点を少なからず抱えているにも関わらずぼくがこのゲームを評価してしまうのは、久坂愛奈というキャラクターの存在によるものといって過言ではありません。典型的な幼馴染ヒロインといっていい彼女ですが、彼女というキャラクターの良さが伝わってくるのは実はアリサや優梨子といった他ヒロインのシナリオで、彼女が主人公に対して取る距離が萌え心を擽ってまさに絶妙なのです。正直いって並のデキといっていい愛奈ルートがより良く感じられたのは他ルートで見せた可愛さによる刷り込みがあったからかもしれません。
まあぼくが典型的な幼馴染属性の持ち主ということを差し引いても愛奈の存在はこのゲームでは別格で、彼女というヒロインに出逢えただけでもこのゲームをプレイした価値は充分ありました。

というわけで本編のプレイは目出度く終了させたわけですが、いまだファンディスクがマスターアップ報告されないのが気がかり。出来ればプレイした印象が消えないうちに愛奈とのいちゃラブ延長戦を楽しみたいと思っているのですけれどね。

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