2011年05月16日

メインヒロインに弱みを抱える

昨年下半期で一番注目を集めた美少女ゲームと言われて、まず思い浮かべるのが恋と選挙とチョコレート(sprite)です。凌辱メーカー(といっても直近のソフトは凌辱とはほど遠い内容のものばかりでしたが)として鳴らしたSerenの別ブランド第1弾で、往年のSelenの作風とは間逆の萌えゲーとあって正直未知数なところが多いゲームだったのですが、まさかこれほど話題を集めるとは思いも寄らなかったです。なんといっても発売間もなくショップから新品の姿が無くなりいわゆるエロゲー難民が大量発生してしまったわけですから、メーカーとしてもそれだけ大きく売り上げを伸ばしたことでしょう。
その成功した要因といえば雑誌媒体を始めとする積極的な宣伝活動の成果といえるのでしょうが、それも今夏がデビュー作品とは思えない原画家の魅力に尽きるでしょう。いくらパブリッシングに力を入れたとしても原画に惹きつけるものがなければ空振りに終わるのが関の山ですし。
そしてもう一つの材料が今後のCS及びアニメ化を意識しているかのような声優の起用で、これまでのSerenのゲームから考えられないような配役を見てもメーカーの力の入れ方が分かるというもの。これだけの意気込みを見せられては、萌えゲーファンならプレイしてみようと思わないほうがおかしいというもの。

そんなわけでようやくぼくも遅ればせながらようやくプレイしました。その知名度にしては批評空間ではやや物足りない評価になっているゲームですが、それでも光る部分が多くてぼく的にはまずまず楽しむことができました。
ただ誰もが指摘しているようにこのゲーム最大の弱点といっていいのが、メインヒロインである千里が(性格的に)可愛く描かれていないところにあります。
他のヒロインの可愛さが目立つだけに余計千里が可愛くなく感じられて仕方がないのですが、よくよく考えてみるとどうやらライターはわざと千里をいわばかませ犬に仕立て上げているように思えてならないのです。
というのもこのゲーム、一番最初は必ず千里ルートをプレイしないと他ヒロインのルートに入ることができないのですね。常識的に考えるとオーラスでしかルートに入れないならともかくその間逆というのはほとんど聞いたことがないのですが、なぜこのような演出にしたのかぼくには理解できません。タイトルにある「恋」「選挙」「チョコレート」という三つのお題で噺が成立しているのは千里ルートだけであり、本来ならこのルートが大トリになっているのが自然なのです。
それに他のルートでも部分部分では千里が可愛く描かれている場面もあるわけで、そういった場面を下敷きにして千里ルートをプレイすればもう少し彼女を(プレイヤーから見て)可愛く感じられると思うのです。

そう考えると千里ルートを一番最初にプレイしなければならないようにしたのはマイナスにしかならないように思えてならないのですが、深読みすれば制作者側がこのような構成にした理由は千里シナリオに自信がなかった表れではないかと勘繰りたくなってきます。実際5本のルートで一番デキが悪く感じられるのが千里ルートであり一番最後にデキの悪いルートをプレイすると全体的な印象が悪くなってしまう。それならば一番最初にデキの悪いルートをプレイさせた方が良いと思ったのではないのでしょうか。例え千里個人の印象が悪くなったとしても・・・

ただぼく個人の意見とすればヒロインをスケープゴートにするくらいならば、最初から千里ルートを練り直した方が良かったと思うのですね。プレイヤーの感想によって自然にヒロインの優劣順位がつくならともかく、制作者が意図的にヒロインを差別するのはシナリオゲーならともかく萌えゲーでは逆効果ではないでしょうか。他のヒロインのルートにお情けで感動させようとするシーンを入れるくらいなら、千里本人のシナリオでこそ感動させて欲しかったとぼくは考えるのです。そしてそれが成されていれば精力的に行ったパブリッシングに比例するような名声を得られていたと思うのですが・・・

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