2012年03月03日
驚きはやがて怒りに変わり
Overflowの作品というといつもぼくらプレイヤーに少なくない驚きをもたらしてくれました。ヒロインが妊婦という設定が当時斬新だったらーじPONPONにF&C調の萌えゲーと思わせて実は鬼畜ゲーというスノー・ラディッシュ・バケーション!がぼくの考えているOverflowの代表作なのですが、その驚きの頂点というべき作品がそのバットエンドの残虐性が話題となったSchool Daysでしょう。
あのショッキングなエンドの数々はプレイヤーに衝撃を与えたのですが、後年アニメ化されて今度はテレビの視聴者にショックを与えたのは今でも語り草となっています。そしてOverflow(というよりメイザーズぬまきち氏)は今でもその衝撃の幻影を追い続けているのではないかと思います。つまりプレイヤーにあれ以上の驚きを与えなくてはいけない・・・まあメイザーズぬまきち氏にそこまでの切迫感はなく単なる趣味なのかもしれませんが・・・といういわゆるショックのインフレ化現象が起きてしまったのではないかと思うのですね。だから例えアンフェアと云われるような手段を用いてでもプレイヤーにショックを与えようと考えたのでしょう。
というわけで今回はそんなCross Daysの話です。
このゲームの主人公は足利勇気という少年(年齢は語られていませんが)なのですが、この勇気少年あるルート(ゆうルート)に入るとなぜかヒロインに変容してしまうという斬新な趣向が採られています。何か喋っていて自分がポルナレフになったような気分になってしまうのですが、この一見パラドックスとも思えるこの趣向がゲームとして無理なく成立しているのには正直驚かされました。もしこのゲームがノベルタイプの萌えゲーで描かれていたとしたらゲームとして成立していなかったに違いなく、このあたりはOverflowの特長であるアニメを十二分に活かした結果であり、プレイヤーを主人公に感情移入させず絶えず傍観者的視点に置くことによって勇気の変容を受け入れることが出来るのです。
このアイデアに関しては本当に驚きであり、ゆうルートの充実ぶりを鑑みるにこのゲームの陰のメインヒロインは主人公である勇気といっても過言でないと言っても言い過ぎでないと思うのです。こんな主人公=メインヒロインという冒険を難なく遣って退けるメイザーズぬまきち氏の豪胆さには驚嘆するしかないのですが、ただこれがプレイヤーに受け入れられたかというと全く逆でごく一部のマニアを除くと罵倒の嵐だったのは批評空間での感想の数々が示す通りです。これは例えていうとミステリーでいかに素晴らしいトリックが描かれていてもストーリーが全くダメだったならばエンターティメントとして評価されないように、プレイヤーに驚きよりも不快な感情を強く与えてしまうようではエンターティメントとして失格の烙印を押されても仕方ないのです。
かく言うぼくもゆうルートのエンドの数々は本当に驚かされたのですが、「君だけを」エンドでこれまで聴いたことのない茶太嬢の歌が流れた時には正直頭が痛くなりました。この曲は曲調から考えて明らかにトゥルーエンドで流れるものであることは明らかなのですが、この異常なラストをトゥルーと考えるメイザーズぬまきち氏の思考には唖然とさせられるしかなかったのです。
さて起承転結である結の部分の第4章に入るルートは先に紹介したゆうルートの他にもう一つ山県愛ルートがあるわけですが、これも常識から外れたところを突き進んでくれます。
実はぼくがこのゲームで一番面白くかつ抜けると思うシーンが誠&言葉・勇気&愛のスワッピングであり心ならずも勇気に処女を捧げてしまう愛に対して憐みの感情を覚えたものですが、その後の展開はその感情を台無しにしてしまう展開であり、一見か弱そうに見える山県愛もDaysシリーズの大部分を占める強かな女性の一員であることを認識させられることになります。この愛ルートも料理次第ではプレイヤーの琴線に触れるようなエンドがいくらでもできたはずですが、あえてそうしなかったのは期待を裏切ることによってプレイヤーにショックを与えようというメイザーズぬまきち氏の考えなのでしょう。
こうして見ると本来のメインヒロインであるはずの喜連川路夏は第4章では全く影が薄いことが分かります。路夏のベストエンドと思われるのがぼくが思うには「想い重ねて」なのですが、それは第3章といういわゆる中途で終了するものでありいわゆるサブヒロインのエンドのような扱いなのです。正直これは驚かされたというよりどちらかというと開いた口が塞がらないといった類のものですが、ここまで邪険な扱いを受けたメインヒロインはほとんど記憶にありません。こんなことを平然とやってのけるのもメイザーズぬまきち氏ならではのことですが、路夏に惹かれてこのゲームを購入したファンにとっては裏切られたと思われても仕方ないでしょう。
というわけで期待をことごとく裏切ることでプレイヤーにショックを与えるという手法を採ったOverflowですが、その斬新な試みは当然プレイヤーの怒りを浴びる結果に終わりました。そんなCross Daysのぼくの評価なのですが、実を言うとそれほど悪くないのです。確かに第4章に於けるエンドの数々は正直頭が痛くなるものばかりだったのですが、Overflowのゲームに流れる雰囲気がぼく自身好きなのですね。それに使い回しが多分に目立ったとはいえHシーンのアニメについてはそれなりのクオリティを保っていました。もちろんそんなわずかな材料だけでこのゲームの評価を変えようと命を賭してまで弁護しようとは思いませんけどね。
あのショッキングなエンドの数々はプレイヤーに衝撃を与えたのですが、後年アニメ化されて今度はテレビの視聴者にショックを与えたのは今でも語り草となっています。そしてOverflow(というよりメイザーズぬまきち氏)は今でもその衝撃の幻影を追い続けているのではないかと思います。つまりプレイヤーにあれ以上の驚きを与えなくてはいけない・・・まあメイザーズぬまきち氏にそこまでの切迫感はなく単なる趣味なのかもしれませんが・・・といういわゆるショックのインフレ化現象が起きてしまったのではないかと思うのですね。だから例えアンフェアと云われるような手段を用いてでもプレイヤーにショックを与えようと考えたのでしょう。
というわけで今回はそんなCross Daysの話です。
このゲームの主人公は足利勇気という少年(年齢は語られていませんが)なのですが、この勇気少年あるルート(ゆうルート)に入るとなぜかヒロインに変容してしまうという斬新な趣向が採られています。何か喋っていて自分がポルナレフになったような気分になってしまうのですが、この一見パラドックスとも思えるこの趣向がゲームとして無理なく成立しているのには正直驚かされました。もしこのゲームがノベルタイプの萌えゲーで描かれていたとしたらゲームとして成立していなかったに違いなく、このあたりはOverflowの特長であるアニメを十二分に活かした結果であり、プレイヤーを主人公に感情移入させず絶えず傍観者的視点に置くことによって勇気の変容を受け入れることが出来るのです。
このアイデアに関しては本当に驚きであり、ゆうルートの充実ぶりを鑑みるにこのゲームの陰のメインヒロインは主人公である勇気といっても過言でないと言っても言い過ぎでないと思うのです。こんな主人公=メインヒロインという冒険を難なく遣って退けるメイザーズぬまきち氏の豪胆さには驚嘆するしかないのですが、ただこれがプレイヤーに受け入れられたかというと全く逆でごく一部のマニアを除くと罵倒の嵐だったのは批評空間での感想の数々が示す通りです。これは例えていうとミステリーでいかに素晴らしいトリックが描かれていてもストーリーが全くダメだったならばエンターティメントとして評価されないように、プレイヤーに驚きよりも不快な感情を強く与えてしまうようではエンターティメントとして失格の烙印を押されても仕方ないのです。
かく言うぼくもゆうルートのエンドの数々は本当に驚かされたのですが、「君だけを」エンドでこれまで聴いたことのない茶太嬢の歌が流れた時には正直頭が痛くなりました。この曲は曲調から考えて明らかにトゥルーエンドで流れるものであることは明らかなのですが、この異常なラストをトゥルーと考えるメイザーズぬまきち氏の思考には唖然とさせられるしかなかったのです。
さて起承転結である結の部分の第4章に入るルートは先に紹介したゆうルートの他にもう一つ山県愛ルートがあるわけですが、これも常識から外れたところを突き進んでくれます。
実はぼくがこのゲームで一番面白くかつ抜けると思うシーンが誠&言葉・勇気&愛のスワッピングであり心ならずも勇気に処女を捧げてしまう愛に対して憐みの感情を覚えたものですが、その後の展開はその感情を台無しにしてしまう展開であり、一見か弱そうに見える山県愛もDaysシリーズの大部分を占める強かな女性の一員であることを認識させられることになります。この愛ルートも料理次第ではプレイヤーの琴線に触れるようなエンドがいくらでもできたはずですが、あえてそうしなかったのは期待を裏切ることによってプレイヤーにショックを与えようというメイザーズぬまきち氏の考えなのでしょう。
こうして見ると本来のメインヒロインであるはずの喜連川路夏は第4章では全く影が薄いことが分かります。路夏のベストエンドと思われるのがぼくが思うには「想い重ねて」なのですが、それは第3章といういわゆる中途で終了するものでありいわゆるサブヒロインのエンドのような扱いなのです。正直これは驚かされたというよりどちらかというと開いた口が塞がらないといった類のものですが、ここまで邪険な扱いを受けたメインヒロインはほとんど記憶にありません。こんなことを平然とやってのけるのもメイザーズぬまきち氏ならではのことですが、路夏に惹かれてこのゲームを購入したファンにとっては裏切られたと思われても仕方ないでしょう。
というわけで期待をことごとく裏切ることでプレイヤーにショックを与えるという手法を採ったOverflowですが、その斬新な試みは当然プレイヤーの怒りを浴びる結果に終わりました。そんなCross Daysのぼくの評価なのですが、実を言うとそれほど悪くないのです。確かに第4章に於けるエンドの数々は正直頭が痛くなるものばかりだったのですが、Overflowのゲームに流れる雰囲気がぼく自身好きなのですね。それに使い回しが多分に目立ったとはいえHシーンのアニメについてはそれなりのクオリティを保っていました。もちろんそんなわずかな材料だけでこのゲームの評価を変えようと命を賭してまで弁護しようとは思いませんけどね。
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