2012年09月13日

次に期待したいと思わせる一本

今月に入ってからほぼ休日返上で働いています。
ぼくはお世辞にも仕事人間でないわけで、これまでのんびりというより自堕落な生活をずっと送ってきたわけですが、そんなぼくが一生分の勤勉を使い果たしているようなワーカホリックぶりを見せているというのは昔のぼくを知る人からするとさぞ信じられない気分でいることでしょう。

そんなわけで積みゲーを崩すヒマもないと言いたいところなのですが、それでも短いゲームからコツコツをというわけで、1本道でシナリオ容量も少ないという評判の波間の国のファウスト(bitterdrop)をクリアしました。といってもおまけのHシーンについてはまだ全部見ていなくて完全クリアとはいえないのですが、取りあえず今回は本編の感想について語ってみようかと思っています。

このゲーム。6月戦線の本紙予想では対抗印を打ったのですが、前評判はそれほど高いゲームではありませんでした。そんな中でえれくと!(アストロノーツ)と並ぶ高い評価を得ていてぼく的にはホッとしているのですが、ただ6月は目ぼしいゲームの発売が少なく展開に助けられた面もあっての好走ではと穿って見ていたのも事実でした。
そして実際プレイした印象はややアクが強く万人に膾炙するものでないように感じられました。ただそれは題材によるものというより、ゲーム環境や声優の演技などについて手馴れていない感が否めずゲーム全体としての粗さを感じてしまったからです。特に一部キャラがどうも声質がそぐわず折角の緊張するシーンなのに何か気が抜けたように感じてしまったりして、これならいっそ声がない方がいいのではと思ったくらいです。まあこのあたりは実力派声優を起用すれば解決することなのかもしれませんが、それよりもゲームの容量等の点を含めディレクターの経験値を増やすほうが先決なのかもしれません。

さてこのゲームの題材は経済と謳っていて一見とっつきにくさを感じるかもしれません。実際ぼくも経済というと拒否反応しかなくて、恐る恐るといった感じでゲームを始めたものですが、内容は高度というほどではなくて雰囲気だけ掴んでいれば充分内容は理解できるような気がします。といってもぼくの経済知識なんて宮川総一郎の株マンガで得た知識ですから大きく偏っているのですが・・・それはともかくこのゲームの一番の見どころといえば、ぼくが思うに和彦とのマネー戦争でしょう。このあたりは、ぼくが「マネーウォーズ」に影響されているかもしれませんが、相場を舞台とした虚虚実実の動きは非常に燃えるものがあるのですね。
それだけに締めである第4章でそのような熱い展開が用意されていなかったのはやや惜しまれるところ。このゲームのもう一つのテーマである「過去の絆を取り戻す」といった意味だけ取れば妥当な結末なように感じるかもしれませんが、主人公たちが負けはしなかったとはいえ完全な勝利を得ずに半ば手仕舞いしてしまったような展開は最後まで熱い騙し騙されあいのマネーウォーズを期待していたぼくにとっては拍子抜けでした。まあこういった題材のゲームに勧善懲悪もないのですが、主人公や白亜には大敗してもいいから大勝負を打って欲しかった気がしてならなかったです。

それでも全体的には充分面白くて批評空間でそれなりの評価を得ているのも充分納得がいく内容です。メインヒロインやサブキャラの魅力がやや薄かった嫌いはあるのですが、それでも凪が可愛く感じられたので収支は充分取れています。次作に大いに期待できるといった意味でもなかなか拾い物をしたという気分にさせられた作品でした。

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