2012年11月05日

進化の見られない悲しさ

ここ2週間くらいずっとプレイしているのが門を守るお仕事(ソフトハウスキャラ)です。
9月発売組の中で世間的には大きく期待を裏切ったといえるゲームで始める前は恐る恐るといった感じだったのですが、およそ10周以上周回を重ねたわけですから少なくとも元は取ったといえるでしょう。少なくとも一般の評価は高いウィザーズクライマーは2周目ではやプレイを断念したのに比べればぼく的には楽しめたといえるのではないでしょうか。
それでももろ手を上げて絶賛する気になれないのは、この作品がソフトハウスキャラの過去作と比べて全くと言っていいほど進化した点が見られないことでしょう。
このソフトハウスキャラというメーカーはデビュー作の海賊王冠からユーザーの不満を汲み取って少しずつ改良を重ねてきました。その成果が徐々に見え出したのがレベルジャスティスであり、結実したのが巣作りドラゴンといえるでしょう。
ところが最近リリースされたソフトハウスキャラの作品群に対する評価を見ると、どうやらその進化が止まってしまったのではないかという印象を抱き始めていました。そしてその想像が間違っていなかったことがこの最新作をプレイして思い知らされたのです。

この門を守るお仕事の第一印象はというと、ソフトハウスキャラの過去作である王賊に近いものを感じさせてくれました。ぼく的に王賊はかなり良い印象を持っているゲームで、メインヒロインであるアルイエットを初め魅力的なヒロインが揃っていたし初回プレイはかなり楽しめました。ただ欠点も少なからずあって、戦闘マップが狭くまたバリエーションが少ない点やチートユニットが無尽蔵に雇えるためプレイヤーの自主的な縛りがないと中終盤が作業プレイに陥りがちになる点など改良すべき点が多くありました。
その王賊の問題点というべき部分がこの門を守るお仕事でどこまで修正されているかというと、驚くべきことにこれが何一つ解決されていないのですね。
何といってもこのゲーム。マップがただの一つしかないのです。確かに街防衛をテーマとするゲームですから、領土を攻め取るゲームと違いマップを数多く用意できないということについては理解できます。ただそれでもマップをもっと広げていれば戦術の多様性が増えてSLGとしての深みが出たと思うのです。例えば門を攻撃している敵を城外に伏せておいた別働隊と挟み撃ちにしたりとか、あえて門の中に敵を引き寄せ落とし穴で殲滅させる等の戦術もアリだったはず。それがこのゲームではあまりにマップが狭く採れる作戦がほぼ限られてしまうため、敵の撃退法がほぼ作業と化してしまっているのです。このあたりはマップの狭さが課題となっていた王賊の教訓が全く生かされていないといっても過言ではありません。
そしてもう一つの問題がユニットのこと。王賊でもユニットとキャラクターの関連が薄い欠点があったのですが、今回はそれよりもっと酷い。何せ当初修正ファイルが発表される前は部下であるヒロインがどのユニットを率いているか全く不明だったわけですから。
そもそもソフトハウスキャラのゲームはシナリオの内容が薄いという欠点があるわけでそれを補うのがゲームパートだったはず。SLG部分でヒロインのキャラクター性を浮かびださせることで、プレイヤーのヒロインに対する感情を呼び出すのがこうしたタイプのゲームの常道なわけですが、それがヒロインがどの部隊を率いているか分からないようではヒロインのキャラクター性が薄くなって当たり前です。さすがにそれではまずいと思ったのか、それともユーザーから苦情が入ったためか後日ヒロインがユニットを率いれるパッチが発表されたのですがそれも付け焼刃が否めない内容で、ゲームパートでヒロインが絡むイベントが発生しないようでは当然効果は薄い。しかも使用頻度が少ない(と思われる)歩兵隊に2名のヒロインが割り振られたりとその配役も疑問の残るもので、どこまでゲームパート部分を理解していたのかと思わざるを得ませんでした。

確かにこのゲームは何度も周回プレイをすることが前提となっていてプレイヤーを長時間遊ばせることが出来る作りになっています。ただ周回することに対する見返りがユニットのレベルを上げるだけというだけで余りに寂しくそれが作業感の強さとなって現れるのではないかと思うのですね。コツさえ掴めれば1周およそ2~3時間でクリアできるというのに6~7周もすればあらかたイベントが埋まってしまう。しかも肝心のゲームパートに面白みがないとなればプレイヤーの大部分が続ける気が起きなくなっても当然です。
このゲームの一番の問題はプレイヤーに作業ばかり強いて楽しんでもらおうという部分が欠けていることだと思います。実際ぼくもこれだけ周回していてどれだけ実りがあったのかと訊かれたら首をひねらざるを得ませんので。

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