2013年08月24日

主人公女装ものの新たな切り口

先々月くらいから5本のゲームをほぼ同時進行させていたのですが、なぜか一番最初にゴールへ辿りついたのは一番最後に始めた月に寄りそう乙女の作法(Navel)でした。
これは同時進行させていたゲームの中で一番面白く感じられたからでしょう。特にこのゲームのテキストはぼくの肌に合ったこともあり、知らず知らずのうちに先へ先へと進めている自分に気が付いて慌てて進行のスピードを緩めたくらいでしたから。
というのも本来なら先月末発売された乙女理論とその周辺 -Ecole de Paris-にある大蔵遊星(主人公)の声パッチを当ててから本格的にプレイしようと心に決めていたからで、まさかファンディスク発売前に個別ルートの半数をクリアしてしまうとは・・・
やはり女装ゲーは主人公をいかに魅力的に描くかが成功のカギとなるわけですから、キャラクターを引立たせる意味でも主人公に声を当てるのは(ぼく的には)必須のことと考えています。そんなぼくが声なしでも充分楽しめているのですから、このゲームのデキの良さが分かるというものです。
もちろん批評空間のデータを見て分かるように、大部分の人がこのゲームに高い評価を与えています。そんな中で一番評価の高いルートがメインヒロインであるルナルートであり、ぼくもその意見には異論がありませそれでもぼく的にはユーシェルートはともかく一枚も二枚も劣ると云われている西又ヒロインのルートもそれなりに楽しめたりしてるのです。これは瑞穂や湊のキャラがテンプレ的でありながら非常に立っていたことによるものが大きいと思います。まあ彼女たちは個別ルートよりも他のヒロインのルートでサブキャラを演じていた方が光っていることは否めませんが。

さてこのゲームの真のヒロインが主人公である小倉朝日こと大蔵遊星であるということについて、多くの人が認めています。ほとんどの家事に対して万能で並の女性以上に女らしい彼を知れば、正体を知っていた湊やミーハー趣味の瑞穂はともかく、その趣味が全くなかったルナ様がレズの誘惑に駆られてしまっても仕方ないといえるのですが、こうした女装主人公ゲーにおいて彼のようなタイプの主人公は異色のタイプであるといえると思います。というのも大方の女装主人公潜入ゲーは主人公に宝塚でいう男役のような役目を担わせることが多いのですね。女装主人公ゲーの代表作といえる処女はお姉さまに恋してる(キャラメルBOX)を始めこういったタイプのゲームは非常に多い。逆に主人公に宝塚の娘役のような役割を担わせたゲームでぼくが思いつくのは花と乙女に祝福を(ensemble)くらい。ただあのゲームは主人公の役割について徹底さに欠けていた面があったので、やはりつり乙が女装主人公潜入ゲーにおいてこれまでのゲームよりも徹底して主人公のヒロイン化に拘ったことが分かるのではないかと・・・
こうした主人公のヒロイン化が一番生かされたのがルナ様ルートであり、そういった意味で彼女のルートが一番評価が高いのは当然でしょう。主人公の健気さはルナの心と共にプレイヤーの心をも揺さぶったとぼくは考えるのです。

さてこれまで褒めてばかりだったこのゲームですが、少し気になった点が一つ・・・

このつり乙の敵役といっていいのが主人公の兄である依遠です。主人公の朝日が崇める存在でありまた魔神のように恐れる依遠のやり口がどうも小物っぽい悪党が行うような風でどうも大物っぽくないのですね。ライターは自分の信念のためなら手段を択ばないような人物に描きたかったのかもしれませんが、朝日のこれまでの言動などを見るとどうにも違和感が拭えないのです。まあこれまでの生活の間に朝日が絶対服従するよう洗脳されてしまっている可能性もありますが、それだとルートによっては若干矛盾する部分も出てきますし、それならば依遠を徹底的に嫌われるような悪役にしてしまったほうが良かったように思うのですが・・・

そんな大蔵兄弟の矛盾ともいえる行動が果たしてファンディスクで明かされるかどうかもぼく的には注目というより楽しみにしています。

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