2014年02月12日
二兎を追う者は・・・
先週1日きりの休みを機に、最終局面に入っていたカルマルカ*サークル(SAGA PLANETS)を一気に終わらせてしまいました。
ヒロイン全員のエンドを迎えた後のいわゆる「トゥルーエンド」内に、Hシーンがない事は回想モードを見て分かっていたのでその気になればいつでも終わらせることが出来たのですが、ここまで延び延びになっていたのは一気に読ませようとする牽引力がなかったからというのが正直なところで、批評空間の評価が低迷しているのも納得といったデキでした。
実を言うとこのカルマルカ*サークル。ぼくとしては発売前かなり期待していたのですね。というのもライター陣の実績を考えると前作のはつゆきさくらを担当した新島夕氏に勝るとも劣らないと考えていたからです。特に瀬尾順氏はハニカム文庫での2作品が印象に残っていたし、他のライター陣も近作を見る限り実績充分の顔ぶれ。新島夕氏を失ったサガプラが新たなスタートを切るにあたって、考えうる最高のメンバーを集めて勝負したと考えたのです。
ただゲームを始めてその期待が落胆に変わるのにさほど時間が掛かりませんでした。というのも瀬尾氏がハニカム文庫で見せたような軽快な会話のキャッチボールが全く見られなかったのです。
まあこれは当然と言えば当然かもしれません。このゲームが瀬尾氏1人でシナリオを担当しているならいざしらず、複数ライター制を採っている以上、ルートによって会話のテンポに変化を出すのは好ましいことではないからです。とはいってもライターの特長を消し去ってしまっているのは明らかに勿体無く、複数ライターの弊害がモロに出てしまったといっても構わないわけですが、もう一つの誤算はこのゲームがストーリーで読ませるタイプのゲームなのかそれともヒロイン萌えで勝負するタイプのゲームなのかはっきりしなかったところです。
いや「サガプラのゲームなのだから萌えによりウェートを置いているに決まっているだろう!」と言われるかもしれません。
確かに、サガプラの誇る原画陣(ほんたにかなえ氏、とらのすけ氏)はいい仕事をしていました(まあぼく的にサガプラの原画家といえばいまだに有末つかさ氏なのですが)。ただぼくの眼には原画家の描いた絵以上のヒロインの魅力をこのゲームからは感じなかったのです。つまり上級の萌えゲーというものは原画だけでなくテキストやシナリオとの相乗作用で産まれるもので、このゲームではテキストで萌えを上積みさせることが出来なかった。そういう意味ではこのゲームは萌えゲーとして考えると高い評価が付けられないといっても過言ではありません。
ぼくの見る限り攻略ヒロインで王道萌えを感じさせたのは暦くらいで、晴は恋愛関係になった以降のデレっぷりに見どころはあるもののそれ以前の言動にネックがあり、メインヒロインの奈月はライターがシナリオの伏線を追うのに懸命で端からヒロイン萌えを犠牲にした感じ。腹に一物抱えているニコは萌えの主流とはなりえないし、夕姫羽さんは論外。そうした攻略ヒロインたちの萌え不足が、まるで選挙で行き場のない無党派層の票が既成政党以外の候補者に集まるように非攻略ヒロインである杏に集まったのではないでしょうか。確かに杏の造形及び設定は攻略ヒロインとなっても不思議でないのですが、それでも過去の名作に登場した名非攻略ヒロインと比べれば見劣りがするように思えたので、ぼくには余計そう感じられるのです。
まあそれはともかくこのゲームが萌えを犠牲にしてまでシナリオに力を入れたであろうことは、トゥルールートでHシーンが無かったことを見ても理解しています。ただその肝心のトゥルールートがどうもパッとしないのですね。この作品の主眼となる魔可という設定もじっくり考えてみればご都合主義と言われても仕方ないところですし、悪役も小物感が否めない。ぼくは登場する悪役の言動の次元があまりに低すぎただけに、影で操る黒幕が最後登場するのではと疑ったくらいでどうも物足りなさが残ってしまいました。
(総括)
駄作と貶されるほどデキが悪いわけではないが、どうも物足りないというのがプレイ直後の心持。まとまっているように思えるラストもぼくには強引すぎるように思えて仕方なかったし、主人公&ヒロインのカルマも上面だけ触れられ深く踏み込んでいないのも辛い。そう考えるとこのゲームはとてもシナリオを重視したとは言えないのですが、萌えゲーとして見たとしても高い評価を与えられないというのが誤算でした。
萌えとシナリオの二兎を追って一兎も得られなかったというのがこのゲームの評価を端的に表しているといっていいでしょう。
ヒロイン全員のエンドを迎えた後のいわゆる「トゥルーエンド」内に、Hシーンがない事は回想モードを見て分かっていたのでその気になればいつでも終わらせることが出来たのですが、ここまで延び延びになっていたのは一気に読ませようとする牽引力がなかったからというのが正直なところで、批評空間の評価が低迷しているのも納得といったデキでした。
実を言うとこのカルマルカ*サークル。ぼくとしては発売前かなり期待していたのですね。というのもライター陣の実績を考えると前作のはつゆきさくらを担当した新島夕氏に勝るとも劣らないと考えていたからです。特に瀬尾順氏はハニカム文庫での2作品が印象に残っていたし、他のライター陣も近作を見る限り実績充分の顔ぶれ。新島夕氏を失ったサガプラが新たなスタートを切るにあたって、考えうる最高のメンバーを集めて勝負したと考えたのです。
ただゲームを始めてその期待が落胆に変わるのにさほど時間が掛かりませんでした。というのも瀬尾氏がハニカム文庫で見せたような軽快な会話のキャッチボールが全く見られなかったのです。
まあこれは当然と言えば当然かもしれません。このゲームが瀬尾氏1人でシナリオを担当しているならいざしらず、複数ライター制を採っている以上、ルートによって会話のテンポに変化を出すのは好ましいことではないからです。とはいってもライターの特長を消し去ってしまっているのは明らかに勿体無く、複数ライターの弊害がモロに出てしまったといっても構わないわけですが、もう一つの誤算はこのゲームがストーリーで読ませるタイプのゲームなのかそれともヒロイン萌えで勝負するタイプのゲームなのかはっきりしなかったところです。
いや「サガプラのゲームなのだから萌えによりウェートを置いているに決まっているだろう!」と言われるかもしれません。
確かに、サガプラの誇る原画陣(ほんたにかなえ氏、とらのすけ氏)はいい仕事をしていました(まあぼく的にサガプラの原画家といえばいまだに有末つかさ氏なのですが)。ただぼくの眼には原画家の描いた絵以上のヒロインの魅力をこのゲームからは感じなかったのです。つまり上級の萌えゲーというものは原画だけでなくテキストやシナリオとの相乗作用で産まれるもので、このゲームではテキストで萌えを上積みさせることが出来なかった。そういう意味ではこのゲームは萌えゲーとして考えると高い評価が付けられないといっても過言ではありません。
ぼくの見る限り攻略ヒロインで王道萌えを感じさせたのは暦くらいで、晴は恋愛関係になった以降のデレっぷりに見どころはあるもののそれ以前の言動にネックがあり、メインヒロインの奈月はライターがシナリオの伏線を追うのに懸命で端からヒロイン萌えを犠牲にした感じ。腹に一物抱えているニコは萌えの主流とはなりえないし、夕姫羽さんは論外。そうした攻略ヒロインたちの萌え不足が、まるで選挙で行き場のない無党派層の票が既成政党以外の候補者に集まるように非攻略ヒロインである杏に集まったのではないでしょうか。確かに杏の造形及び設定は攻略ヒロインとなっても不思議でないのですが、それでも過去の名作に登場した名非攻略ヒロインと比べれば見劣りがするように思えたので、ぼくには余計そう感じられるのです。
まあそれはともかくこのゲームが萌えを犠牲にしてまでシナリオに力を入れたであろうことは、トゥルールートでHシーンが無かったことを見ても理解しています。ただその肝心のトゥルールートがどうもパッとしないのですね。この作品の主眼となる魔可という設定もじっくり考えてみればご都合主義と言われても仕方ないところですし、悪役も小物感が否めない。ぼくは登場する悪役の言動の次元があまりに低すぎただけに、影で操る黒幕が最後登場するのではと疑ったくらいでどうも物足りなさが残ってしまいました。
(総括)
駄作と貶されるほどデキが悪いわけではないが、どうも物足りないというのがプレイ直後の心持。まとまっているように思えるラストもぼくには強引すぎるように思えて仕方なかったし、主人公&ヒロインのカルマも上面だけ触れられ深く踏み込んでいないのも辛い。そう考えるとこのゲームはとてもシナリオを重視したとは言えないのですが、萌えゲーとして見たとしても高い評価を与えられないというのが誤算でした。
萌えとシナリオの二兎を追って一兎も得られなかったというのがこのゲームの評価を端的に表しているといっていいでしょう。
この記事へのトラックバックURL
http://sakanaeye.mediacat-blog.jp/t97318
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません