2014年03月02日

頑張ってくれた妹のために

先週久々に土日が休日になったのですが、そんな時に限ってカゼをひいてしまうもので結局休日はずっと安静にしていました。
カゼといっても多少の熱程度なら隙をついてエロゲーをしたりするのですが、今回のカゼはかなり酷くて文字通りの安静状態。症状を見る限り明らかなインフルエンザなわけですが、仕事柄予防接種を打っていることもあって最近は一度も罹った覚えのないインフルに罹患するとはよほど抵抗力が弱っているのでしょう。

そんなわけで相変わらず積みゲー崩しは全くといっていいくらい捗っていないのですが、ようやく妹のおかげでモテすぎてヤバい(Hulotte)をクリアすることができました。タイトルを見る限りラノベをパクったネタゲーのように思えるし、実際OPムービーを見てもそれを強く臭わせる内容。正直不安ばかりが先立つ出だしだったのですが、高いレベルとまではいかないまでも萌えゲーとしては水準以上といえるデキでした。
特にぼくが感心したのはヒロインがすべて可愛く感じられたことです。


(ここからネタバレ注意)

このゲームの趣向として「振って! 振って! 振りまくる! ADV 」とあるように、目的のヒロインのルートに入るためには他のヒロインの告白を無下にしなければなりません。ただその過程ともいえる他のヒロインを魅力的に描かなければ、メインディッシュに行きつくまでの道中が苦痛に感じられてしまう。といってメインヒロインよりも中途のヒロインを魅力的にしてしまっても、今度は主人公がメインヒロインに惹かれるようになった理由が乏しくなる・・・というわけでこの趣向を成功させるにはヒロインの魅力について微妙なバランスが必要となるわけですが、このゲームの場合それが絶妙だったのですね。

最初の敵キャラ(ヒロイン)である活発でありながら純情という舞奈に始まって、やや小悪魔風味を漂わせている妹の友人である青葉。そしてインドア系で影の薄いのが逆にキャラ立ちに繋がっている先輩の美也という順に攻略していくわけですが、その誰もが可愛く感じられていわゆる捨てキャラと云われるようなヒロインは1人もいませんでした。それにその攻略していくラインナップも正道ながらよく考えられています。
舞奈はいわゆる正統派のヒロインであってトップバッターには最適。続く青葉は勘が鋭い小悪魔タイプというどちらかというとトリッキーなタイプなだけに2番手というのは頷ける選択。そして続く美也はおとなしい性格と見せて芯の強いタイプのヒロイン。秘かに主人公を想っているという点を考えればメインヒロインの前に登場するのに相応しい。もしこのヒロインの登場する順番が違ったとすれば、このゲームに対する印象はかなり変わったのではないかと思うのです。

そんな3人を経て登場する叶はメインヒロインだけに厚遇されています。そしてこのゲームのキモというべき浅沼神社の秘術「刻廻の儀」の謎について徐々に明かされいくわけですが、ただそれよりも天然系お嬢さまである叶の魅力はさすがにメインディッシュに相応しくて非常に魅力的に感じられました。そしてその叶ルートが終えて次にプレイすることになるのが影のメインヒロインというべき妹のメグリなわけですが、正直なところぼくはこのメグリルートを買っていないのですね。というのも叶ルートでは主人公が不調に陥り、そしてメグリルートではメグリの体調が悪くなるという二重の展開はやはり重く感じられるのです。他のルートで兄である主人公の恋愛を優しく見守るメグリの方が、自らのルートよりも魅力的にぼくには感じられてしまうのもその重さによるものではないかと思うのですね。

その重さの主要因はこのゲームのライターが物語の主軸として「刻廻の儀」を据えてしまったことによることは明らかです。確かにこれまで女性に縁遠かった主人公を手っ取り早くモテさせるのには「刻廻の儀」という儀式は有効に働いているのは間違いない。ただぼくが思うにはメグリが兄に恋愛を積極的にさせるために「刻廻の儀」を行うこと自体は良いとしても、必ずしも儀式自体を成功させる必要はなかったと思うのです。
叶と同じ学校に転入するために必死に勉強しまた肉体改造にまで取り組んだというのにフラれてしまった主人公のために何とかしてあげたいというメグリの気持ちは分かります。ただそれでは肝心のメグリの兄に対する想いについてはどうなのでしょうか?ぼくはその想いが置き去りになってしまっていたのが、本来なら影のメインヒロインとして叶以上に光るはずだったメグリルートが今ひとつ輝かなかったことに繋がったのではないかと考えるのです。

もしメグリを輝かせたいならば、叶に告白してフラれて落ち込む主人公をもう一押しさせるためにメグリが「刻廻の儀」という儀式をでっち上げたというストーリーにしても良かったのではないかと・・・。まあそこまでぶっちゃけなくても、「刻廻の儀」という秘法は浅沼神社に伝わってはいたが、メグリの巫女としての実力が足りなかったのかなぜか発動しなかったという展開にしても悪くなかった(メグリはそれを分かっていたが恋愛に奥手な兄を勇気づけたいがために黙っていた)。そしてその失敗した原因はメグリの巫女としての力が劣っていたわけでなく、兄が他の女性と結ばれることについて心の奥底で邪心が働いてしまっていたからとした方が、よりメグリの兄に対する想いが伝わったはずなのです。
だからメグリルートの分岐点は一番最初ではなくラスト・・・つまり数々の苦労をしてまでむすばれたかったはずの叶の告白を振ってまで、主人公が妹のメグリに告白する。もしそんな展開だったとすれば妹スキーにとっては至高の妹ゲーになったはずなのですが・・・

まあこのゲームのライターは、叶とメグリを両天秤にかけて叶の方を取ったのでしょう。もちろんそれはそれで悪くないとは思うのですが、幼いころから兄に秘かな思いを抱いていたメグリのことを思うと「刻廻の儀」の副作用ではなく、主人公と恋愛関係を結ばせてあげたかったのです。メインヒロインである叶の告白を無下にする。それでこそ「振って! 振って! 振りまくる! ADV 」の面目躍如ではなかったかなとぼくは思ったのです。

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