2016年01月03日
手放しで褒められなかった理由
明けましておめでとうございます。
今年は時間を作って、更新頻度を少しでも上げようと思っていますので、よろしくお願いします。
さてこのところあまり肩の凝らない萌えゲーばかりプレイしているぼくですが、年末年始の多少時間が取れる時くらいはシナリオに軸を置いたゲームを・・・ということで選んだのがフェアリーテイル・レクイエム(ライアーソフト)です。昨年7月に発売したゲームで、いかにもライアーらしいゲームという触感。早々にファンディスクも発売されるなど評価も上々なのですが、ぼくの好むライアーらしさというのは天野佑一や岩清水新一といったバカゲーであって、この路線のゲームはほとんどプレイしていないのですね。だからぼくの嗜好に合うかどうかは未知数といったところでした。
(ここからネタバレ)
そんな若干の不安を持って始めた今作品。フェアリーテイル・シンドローム(お伽噺症候群)という病気を患った患者を隔離する病棟を舞台とした物語・・・という出だしで始まるわけですが、ぼくがこのゲームで一番重要であろうと思った謎は「主人公がお伽噺症候群に罹患していないのになぜこの病棟に隔離されているかということです。記憶を取り戻すことが目的ならば主人公と身近な人物(家族)等と一緒に生活するのが相応しいはずだし、もし主人公が家族のいない孤児だったとしても、記憶喪失ならばもっと他に相応しい施設があるだろうしこんな怪しげな施設に入所しないはずですから。
だから主人公がこの施設に入所したのは何か深い理由がある筈なのですが、ぼくが一抹の不安を持ってしまったのは、この重要な謎が果たして最後明かされるかどうか分からなかったからです。
もしライターが実績がありぼくが読んだことのあるライターならそんな不安は感じなかったと思うのですが、今回のメインライターである海原望氏は聞いたことのないライターなだけにそう感じてしまったのです。つまり主人公をあえて名無しの少年にしたのは、グレーテルでいうヘンゼル役。オデットのジークフリート役と、単にどのヒロインの相手役を勤まるためだけの後付けの設定での記憶喪失だったのではないかと・・・
ただこの不安は杞憂に終わりました。ライターはぼくが考えていたとおり、主人公についての伏線をこのゲームの一番の謎として用意していたからです。確かに他の謎(かまどの中で発見された焼死体やヒロインの中に一人いる罪人-ツミビト-等)の明かされ方についてはやや拍子抜けした部分はありますが、ぼくの見る限りは大きなアンフェアはなかったし、枝葉の部分の謎の解明方法に多少不満があったとしても大きな瑕にはなっていないと思います。
とここまではべた褒め(この程度の賞賛でもぼくにとってはべた褒めなのです)したのですが、このゲームをプレイして正直喝采を贈る気分にはなれないのは、ゲームに於いて重要なカギを握るゲルダは別として、他のヒロインの個別シナリオが弱く感じられたこと。そして福祉施設による虐待というあまり気分のよいテーマではなかったことが挙げられます。
まあ前者はともかく後者については、はっきりぼくの言いがかりと認めます。実際ミステリーでも理不尽な殺され方をする被害者は存在する(まあ意味なく殺される被害者というミステリーを決して賞賛はしませんが)し、ましてこのゲームはホラーと謳っているわけですから。ただ病院・介護福祉施設や孤児院等で大小さまざまな虐待が行われている事実を知っているぼくとしては、正直このシナリオに対し傷をえくられるような気分になったのは事実です。それだけにそういった傷を癒すようなラストを求めていたのですが・・・
実をいうとぼくはラストでイケノさんが味方になって主人公たちの味方になって脱出するのを積極的に援護してくれるという展開を予想していました。ただイケノさんは黒の少女の存在も信用せず、最後まで施設側の人間としての立場からなかなか踏み出そうとはしませんでした。まあ最後告発してくれましたが・・・それは後日談として明かされただけで、物語中で本当の悪人がどのような末路を辿ったかについては不鮮明でした。ぼくは内部の人間が施設の暗部を物語中でしっかり告発してくれた方が、読後感はよりよかったような気がしてならないのです(趣味の問題かもしれませんが)。
そういった意味で爽快感がハッピーエンドにはなく、逆にバッドエンドの方こそが正ルートのような気がしてしまう・・・といっても真のヒロインであるゲルダにとって本人の気持ちはともかく、あのラストはぼくにとって一種の寂寥感が流れてしまい読後感はやはり良くはなかった。そう考えると謎の解明はともかく、もう少しラストに工夫が欲しかったような奇がするのです。もし批評空間で得点を付けるとしたら当然80点以下にするわけにはいかないのですが、満足度については高いとはいえない。まあそういった読後感や不可思議さがホラーの魅力だったとすれば、ぼくの読み方感じ方の悪さが原因とするほかなく、こういった作品を楽しむ資格がないのかもしれないのですが・・・
今年は時間を作って、更新頻度を少しでも上げようと思っていますので、よろしくお願いします。
さてこのところあまり肩の凝らない萌えゲーばかりプレイしているぼくですが、年末年始の多少時間が取れる時くらいはシナリオに軸を置いたゲームを・・・ということで選んだのがフェアリーテイル・レクイエム(ライアーソフト)です。昨年7月に発売したゲームで、いかにもライアーらしいゲームという触感。早々にファンディスクも発売されるなど評価も上々なのですが、ぼくの好むライアーらしさというのは天野佑一や岩清水新一といったバカゲーであって、この路線のゲームはほとんどプレイしていないのですね。だからぼくの嗜好に合うかどうかは未知数といったところでした。
(ここからネタバレ)
そんな若干の不安を持って始めた今作品。フェアリーテイル・シンドローム(お伽噺症候群)という病気を患った患者を隔離する病棟を舞台とした物語・・・という出だしで始まるわけですが、ぼくがこのゲームで一番重要であろうと思った謎は「主人公がお伽噺症候群に罹患していないのになぜこの病棟に隔離されているかということです。記憶を取り戻すことが目的ならば主人公と身近な人物(家族)等と一緒に生活するのが相応しいはずだし、もし主人公が家族のいない孤児だったとしても、記憶喪失ならばもっと他に相応しい施設があるだろうしこんな怪しげな施設に入所しないはずですから。
だから主人公がこの施設に入所したのは何か深い理由がある筈なのですが、ぼくが一抹の不安を持ってしまったのは、この重要な謎が果たして最後明かされるかどうか分からなかったからです。
もしライターが実績がありぼくが読んだことのあるライターならそんな不安は感じなかったと思うのですが、今回のメインライターである海原望氏は聞いたことのないライターなだけにそう感じてしまったのです。つまり主人公をあえて名無しの少年にしたのは、グレーテルでいうヘンゼル役。オデットのジークフリート役と、単にどのヒロインの相手役を勤まるためだけの後付けの設定での記憶喪失だったのではないかと・・・
ただこの不安は杞憂に終わりました。ライターはぼくが考えていたとおり、主人公についての伏線をこのゲームの一番の謎として用意していたからです。確かに他の謎(かまどの中で発見された焼死体やヒロインの中に一人いる罪人-ツミビト-等)の明かされ方についてはやや拍子抜けした部分はありますが、ぼくの見る限りは大きなアンフェアはなかったし、枝葉の部分の謎の解明方法に多少不満があったとしても大きな瑕にはなっていないと思います。
とここまではべた褒め(この程度の賞賛でもぼくにとってはべた褒めなのです)したのですが、このゲームをプレイして正直喝采を贈る気分にはなれないのは、ゲームに於いて重要なカギを握るゲルダは別として、他のヒロインの個別シナリオが弱く感じられたこと。そして福祉施設による虐待というあまり気分のよいテーマではなかったことが挙げられます。
まあ前者はともかく後者については、はっきりぼくの言いがかりと認めます。実際ミステリーでも理不尽な殺され方をする被害者は存在する(まあ意味なく殺される被害者というミステリーを決して賞賛はしませんが)し、ましてこのゲームはホラーと謳っているわけですから。ただ病院・介護福祉施設や孤児院等で大小さまざまな虐待が行われている事実を知っているぼくとしては、正直このシナリオに対し傷をえくられるような気分になったのは事実です。それだけにそういった傷を癒すようなラストを求めていたのですが・・・
実をいうとぼくはラストでイケノさんが味方になって主人公たちの味方になって脱出するのを積極的に援護してくれるという展開を予想していました。ただイケノさんは黒の少女の存在も信用せず、最後まで施設側の人間としての立場からなかなか踏み出そうとはしませんでした。まあ最後告発してくれましたが・・・それは後日談として明かされただけで、物語中で本当の悪人がどのような末路を辿ったかについては不鮮明でした。ぼくは内部の人間が施設の暗部を物語中でしっかり告発してくれた方が、読後感はよりよかったような気がしてならないのです(趣味の問題かもしれませんが)。
そういった意味で爽快感がハッピーエンドにはなく、逆にバッドエンドの方こそが正ルートのような気がしてしまう・・・といっても真のヒロインであるゲルダにとって本人の気持ちはともかく、あのラストはぼくにとって一種の寂寥感が流れてしまい読後感はやはり良くはなかった。そう考えると謎の解明はともかく、もう少しラストに工夫が欲しかったような奇がするのです。もし批評空間で得点を付けるとしたら当然80点以下にするわけにはいかないのですが、満足度については高いとはいえない。まあそういった読後感や不可思議さがホラーの魅力だったとすれば、ぼくの読み方感じ方の悪さが原因とするほかなく、こういった作品を楽しむ資格がないのかもしれないのですが・・・
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